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松山油脂の松山剛己社長は新卒で入った博報堂から三菱商事へ転じた後、家業を継いだ

松山油脂の松山剛己社長は新卒で入った博報堂から三菱商事へ転じた後、家業を継いだ

石鹸(せっけん)やボディーソープ、ヘアケア製品など、自然派の自社ブランド製品を手がける松山油脂(東京・墨田)で独自の働き方改革が士気を高めている。松山剛己社長は博報堂、三菱商事を経て、1994年、家業の松山油脂に入社した。2000年から社長に就き、売上高を入社時の約20倍にまで増やした。異業種2社での経験は、社員の意欲を引き出す環境づくりにつながっているという。

(下)後継ぎ社長が新ブランド一人営業 原点はアルバイト >>

 ――関連会社のマークスアンドウェブを含めた売上高を約20倍の80億円に伸ばしました。

「目先の目標としては関連会社を含めた売上高100億円、経常利益10億円を掲げています。2018年の経常利益は約9.6億円に達し、10億円は目前に迫るまでになりました。今はコンスタントに10億円の利益を上げられる会社になろうとしています。17年に持ち株会社を作りました。事業会社のトップを、生え抜きに任せたいと思ったのに加え、将来の事業承継に備えつつ、海外進出も準備したいという目的からです」

――2020年を目指した働き方改革「WORK 2020」にも取り組んでいます。

「WORK2020は少子高齢化や働き方改革が大きく叫ばれるようになった16年に着想し、骨格を組み立て始めました。子育てや介護といった、やむを得ない事情で働けなくなる従業員がこれから増えていくのではないか、それを防ぐ策を事前に講じたいと思ったことがきっかけです。具体的には『フレックス・コアタイム制度』『勤務地限定制度』『定年年齢の引き上げと雇用延長制度』など6つの制度からなっています。今後、制度的には新たに2つ加える予定で、有限で貴重な時間を『仕事・家庭・個』のそれぞれにどのように振り分けるかを社員一人ひとりが主体的に考えられるように制度設計しています」

「なかでも一番思いきったのは『勤務地限定制度』で、会社の人事権である転勤命令権を廃止したことです。考えてみると、みんな自分の家庭や住む場所を大事にしています。介護や教育といった問題を考えても、今は男性であれ、女性であれ、家族の応援がないと頑張れない時代に突入しています。本人の働く意思や意欲を高めるという点でも、勤務地を自分で選べるようにすることは重要でしょう。転勤を辞退しても、一切、マイナス評価にはなりませんし、チャレンジ精神を発揮して新しい環境に飛び込んでくれた人はプラス評価します」

「転勤命令権の廃止は、失敗から学びました。ルールを決める数年前、山梨県にある工場の人材を、将来のマネジメント候補にしようと思い、何人か本社に異動させたことがありました。結果的にはそのうち2人が辞め、1人が家庭の都合で戻らざるを得なくなってしまいました。この経験を経て、勤務地は自分で選んでもらうほうがいいと考えるようになりました。これは関連会社のマークスアンドウェブでも同じです。マークスアンドウェブの場合、全国に直営店が83店舗ありますが、本人が希望しない限り、店長の転勤はありません。地方で新店舗をオープンする際には、原則、そこで採用した人の中から店長を選んでいます」

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