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ペルーの英知 1400年前の水路が現代の水不足救う

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ナショナルジオグラフィック日本版

南米ペルー沿岸部の砂漠には、長い乾期がある。この地域には1400年前から使われてきた水路「アムナス」があり、このほどその機能が初めて調査された。それによると、雨期にリマク川流域を流れる水の34.7%をアムナスに移すことで、9900万立方メートルの水を乾期に備えてためることができ、これはリマで現在不足している量の2倍以上になるという。この研究結果は、学術誌「Nature Sustainability」2019年7月号に掲載された。

アムナスは石造りの浅い水路で、雨期に降った雨水はここを通って砂と岩の多い場所まで流れていき、地中にしみ込む。水は地表より地下の方がゆっくりと流れるため、地下に入った雨水は、しばらくたった後で地中から泉となって湧き出る。つまり、雨期の水が乾期に使えるようになっているのだ。

研究チームは、染料を使った追跡調査と、流路に沿った水量の計測から、古くからの水路によって水が実際に地下に移動し、山を下り、最終的に泉から出てくることを示した。そのタイムラグの長さが、大きな発見の1つだった。水は2週間から8カ月後に再び地表に現れ、地下を流れる平均期間は45日だった。

アムナスはアンデス高地の各地にあり、放棄されたものも多い。アムナスの利用を増やせば、乾期初めのリマク川の流量を33%増やすことができ、水の管理者が貯水池に頼るタイミングを遅らせることができそうだという。

古代水路アムナスの驚くべき正確さ

研究者たちは、地元の人々の助けを得て、どの水路がどの泉につながっているのかという位置を把握した。それが「とても正確」だと染料テストで証明され「驚かされました」と、論文の筆頭著者、ボリス・オチョア=トカチ氏は話す。英インペリアル・カレッジ・ロンドンの土木技師である同氏は「先住民の知恵を取り戻して再評価し、現代科学で補って、今ある課題に解決策を与える」ことに大きな潜在力があるのを示した、と語っている。

気候変動の影響で、氷河や雪塊といった自然の貯水機能が失われつつあることを考えると、アムナスの復旧はとても有効ではないかと、米カリフォルニア大学デービス校の水文地質学者、グレアム・フォッグ氏は話す。同氏は今回の研究には関わっていない。

「潜在的なメリットは、研究チームの計算をはるかに上回るかもしれません」と、フォッグ氏は付け加えた。「(地表の流れを地下に移すことで)何十キロも離れたところで地下水位を上げることができるかもしれません」

現在もアムナスを維持し、乾期にも作物や動物たちに水をやれるようにしている田舎の集落を3つしか把握していないとオチョア=トカチ氏は話す。それらの村には、水路を掃除して使い続けるための文化的慣習や祭りがあるという。

大型ダムは水不足の解決策にはならない

ペルーは、水などの不可欠な資源を人々に供給する法律や政策に関して、世界の先を行く国の1つだ。公営の水道事業者は水道料金の一定の割合を、自然に根差した水保全のために蓄えている。「アムナスは人が作ったものですが、水は土壌の中に蓄えられるので、自然に根差したシステムだと考えられます」と、オチョア=トカチ氏は話す。

こうしたプロジェクトが政府や事業者の資金提供を受けるには、価値ある利益を生み出すことを示さなければならない。つまり、大型のコンクリートダムのような「灰色のインフラ」による解決策と比較したデータが求められるが、そうしたデータはまだない。この目標のために「今回の論文はとても重要です」と話すのは、論文の共著者の一人であるベール・ド・ビエーブル氏だ。論文で示した数値は、これらのプロジェクトには投資するだけの価値があると証明している。

アムナスのような解決策は、灰色のインフラの約10分の1の費用で済むとオチョア=トカチ氏は話す。しかも、気候変動でペルーの降水パターンは変化しており、雨期はより雨が多く、乾期はますます雨が少なくなる傾向にある。この新たな現実に水の管理者が適応しようとしている今、費用がかさむ大型ダムを建設することは解決にならない、と研究チームは示唆している。

むしろ、広い範囲でアムナスを修復する方が安価であり、必要に応じて修復する数を増やすこともできるので、より柔軟なアプローチになる。リマの水の未来を守るには、自然だけでなく古代と現代の技術を用いたハイブリッドの手法をとることが必要だと、論文は結論付けている。

(文 ERICA GIES、訳 高野夏美、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2019年7月12日付]

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