賃貸住宅の改修、ガイドラインで借り手も大家も安心不動産コンサルタント 田中歩

写真はイメージ=PIXTA
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賃貸住宅なのに改修が可能なDIY型賃貸物件を知っていますか? ここ数年、借り手が自分なりにカスタマイズできる賃貸住宅が脚光を浴びるようになってきています。とはいえ「法的な問題はないのか」「どんな工事をどこまでやっていいのか」「工事は本当に安全なのか」など、住む人の自由と大家の安心との間に横たわる課題が解消されない面が多くあり、一気に普及はしていませんでした。こうした中、建築家や不動産管理などの専門家で構成する民間団体が今年5月、安全で安心な改修の方法を分かりやすく解説したガイドラインを発表したのです。

借り手のニーズは様々

賃貸住宅の大量供給や空室リスクの上昇など、大家を取り巻く環境は決して楽ではありません。他の物件との競争に勝つためにマーケットを注意深く調査し、ターゲットに見合った室内の改修や設備投資が必要となることも多くあります。せっかく投資しても、ユーザーのニーズに合わず、結果的に想定より安い家賃で貸さざるを得ないこともあります。

一方、借り手は「どうして壁紙はどこも同じ白っぽい色なのか」「ここに棚があればとても便利なのに」「自分ならこんな感じにはリフォームしない」といったように、ニーズは様々です。ニーズが大きく分散し、平均値では世の中が読みにくくなっているのです。

こうした中、自らが欲しい空間をつくりたい借り手、低コストで賃貸物件の競争力アップを図りたい大家のニーズが合致。借り手が自ら居室をDIYできる賃貸物件が徐々に市場に出てきました。

国交省もガイドブック

こうしたニーズを背景に、国土交通省は2016年に「DIY型賃貸借に関する契約書式例」と「DIY型賃貸借のすすめ」を公表しました。借り手が自らDIYを手掛けるという新たな賃貸借に対応した契約関連書類のひな型と活用にあたってのガイドブックです。

借り手と大家で締結するDIYの範囲や工事の内容に関する合意書、原状回復時の精算の有無や方法などを取り決めた書式の例などを公開することで、新たな賃貸借のスタイルを後押しした形です。