参院選勝利 安倍政権長期化で内需株上昇へ(藤田勉)一橋大学大学院特任教授

安倍首相は憲法改正に強い意欲を示している(2019年7月21日、自民党本部)=共同
安倍首相は憲法改正に強い意欲を示している(2019年7月21日、自民党本部)=共同
「参院選に勝利した安倍政権は憲法改正実現の環境づくりの一環として経済政策により力を入れ、運輸、建設、不動産など内需関連企業に恩恵が期待できそうだ」

21日投開票の参議院選挙は自民、公明の与党が改選過半数の63議席を上回り、令和初の国政選挙で勝利した。憲法改正に前向きな「改憲勢力」は非改選議席をあわせ、国会発議に必要な参院の3分の2を下回ったが、安倍晋三首相(自民党総裁)は自らの総裁任期である2021年9月までに憲法改正の国会発議と国民投票を目指すと表明した。発議に必要な衆参各院での3分の2以上の合意形成に向けて国民民主党などとの連携に期待を示しており、憲法改正に向けた動きが今後活発になりそうだ。

憲法改正実現を目指す安倍政権がまず重視するのが経済政策だろう。憲法改正を実現する環境要因として日本経済の安定成長、株価や為替相場の安定が必要になるからだ。世界経済の不透明感、2019年10月の消費増税や20年東京五輪・パラリンピック後の国内景気の減速見通しなどを踏まえると大型の財政出動と大規模な金融緩和が予想され、日本株相場は低金利の恩恵を受けやすい内需関連株がけん引するだろう。筆者は安倍氏の自民党総裁としての任期が延長され、安倍政権は一般の想定以上に長期化するとみている。内需株主導の日本株上昇は20年代に入っても当面続くだろう。

日本経済、楽観できない外部環境

安倍政権が経済政策に一段と力を入れる背景として外部環境をみてみよう。まず米国のトランプ政権は20年11月の大統領選挙を控えて、中国、イランなどに対して今後も強硬策を打ち出す公算が大きい。これらは世界経済を揺るがしかねない。欧州では英国のハードブレグジット(合意なき離脱)の可能性が高まりつつあるほか、欧州中央銀行(ECB)総裁にハト派とされるラガルド国際通貨基金(IMF)専務理事が就任する。これらを総合すると、欧米は今後、金融緩和を実施する可能性が高い。

一般に、米国の利下げやリスクオフは円高要因となる。日本経済は中国経済に対する依存度が高く、さらに19年10月に消費税が引き上げられる。東京五輪・パラリンピック後は建設需要などの反動減も予想されるため、安倍政権は景気を支えるため大型の財政出動に踏み切ることが考えられる。

欧米が金融緩和を実施すれば、日本も大規模な金融緩和策を打ち出す可能性が高い。ただし日銀は国債発行残高のおよそ半分を保有しており、これ以上の購入は限界がある。国債保有残高増加額は年80兆円を目標にしているが、実績が2017年度49兆円、2018年度33兆円と目標を大きく下回っているのはこのためであろう。

日銀、ETF購入増額が選択肢

そこで、好ましい政策ではないが、日銀が株価指数連動型上場投資信託(ETF)購入額を現在の6兆円からたとえば10兆円に増やすことが考えられる。日銀は19年6月末時点でETFを26兆円保有しているが、これは株式市場全体の4.3%を占めるに過ぎないので、まだ余裕がある。一部の個別銘柄については日銀が10%以上保有している例があるものの、買い入れ対象のETFの株式指数を多様化すれば、副作用は最小限に抑えられよう。