飲酒中に尿の色が変わってきた これって危険な兆候?
この記事では、今知っておきたい健康や医療の知識をQ&A形式で紹介します。ぜひ今日からのセルフケアにお役立てください!
(1)ホント
(2)ウソ
正解は、(1)ホントです。
飲酒中の尿の「色の変化」は大事なサイン
蒸し暑い天気が続くと、喉を潤すために、ビールなどの冷たいお酒につい手が伸びてしまう人も多いのではないでしょうか。お酒を飲み始め、杯が重なるにつれ、もよおしてくるのが尿意です。一度、トイレに行き始めると、堰(せき)を切ったように、短時間で何度も行くのは決して珍しいことではありません。
「お酒を飲んでトイレが近くなるのは、アルコールによって脳下垂体にある抗利尿ホルモンが抑制され、必要以上に尿が出てしまうからです。事実、ビールを飲んだ後の尿の量は、実際に飲んだ量よりも多く、1.5倍にもなることがわかっています。ビールをはじめとするアルコールの摂取は、水分補給になるどころか、むしろ体内の水分量を減らし、脱水状態を引き起こす危険性があるのです」。河北総合病院腎臓内科臨床教育・研修部部長の林松彦氏はそう話します。
林氏によれば、飲酒による体のトラブルを防ぐために、目安にしておきたいものがあるといいます。その1つが、尿の「色の変化」です。
健常者の尿の色は通常、"淡い黄色"を帯びています。黄色の基になる色素はウロビリノーゲンという物質。これは血中のヘモグロビンにあるヘム分子が変化し、老廃物として尿中に排出されたものです。
「つまり、尿が淡い黄色だということは、ヘム分子をきちんと排出している証拠で、腎機能が正常に働いていることを示します。一方、お酒を飲み、腎臓が通常時のように動かなくなると、尿の色は水のように薄くなったり、トイレの回数が増えたりすることもあります。さらに、白く半透明に近い色のまま、尿の量が減ってきたら、脱水気味になっている恐れがあります」(林氏)
お酒を飲んで尿が何度も出るうちに、色が薄くなり、量が減ってくれば、それは「脱水のサイン」である可能性があるのです。
体の中の水分量をコントロールし、塩分濃度を一定に保つ働きをしている腎臓の機能も、加齢とともに少しずつ衰えてきて、体に蓄えられる水分量が減り、脱水症状を起こしやすくなります。そこにアルコールによって抗利尿ホルモンが抑制されると、ますます排出される尿の量が増えて、体の水分もどんどん抜けていきます。中高年の飲酒は、脱水状態になりやすいのです。
酒席でトイレの回数が増えてきたら、尿の色や量の変化に注意して、お酒の量を調節していきましょう。アルコールによって失われていく水分を、水などで補うことも忘れずに!
(日経Gooday編集部)
[日経Gooday2019年7月8日付記事を再構成]
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