データ本位通貨リブラ、新システムの予感(平山賢一)東京海上アセットマネジメント執行役員運用本部長

経済成長をはるかに上回るペースで大量に紙幣が発行されれば中央銀行の信用度も低下し、モノ対比での紙幣の価値も揺らぐはずです。つまり、モノの価値を計測するモノサシとしてのカネは、従来はモノと一体化していたのが、モノから離れ、異なる存在として対峙するようになったのです。

カネとは異なる価値計測尺度の誕生

私たちが普段生活している社会は、モノとカネが互いに価値の違いを比べ合っている世界と言えます。たとえば、相対的にモノの希少性が極端に高まれば、モノの価格が上昇しインフレーションが進み、反対に、カネの希少性が極端に高まれば、モノの価格が下落しデフレーションが進行するのです。

近年、IT(情報技術)革命の進展により、モノの価値をカネと比較するだけではなく、多面的に計測しようとする動きが強まっています。従来は、カネという便利なモノサシを一元的に使って、モノを評価すればよかったと言えるでしょう。価格という一つの情報に、モノの価値が集約されて表現されてきたわけです。

ところが、2010年代後半以降、人工知能(AI)によるビッグデータの分析が汎用化され、一度に処理可能なデータ量が急増しているため、モノの価値を複数のモノサシで再評価できるようになりました。生産に要する環境負荷、生産過程のトレーサビリティー、安全性、耐久性といった多様なデータを統合してスコアリングすれば、モノの価値は価格だけではなく、モノの特性データという側面からも計測できるようになり、モノそのものの価値を、より的確に表現できるようになるでしょう。

進むデータのインフレ化

つまりカネだけではなく、モノそのものを表現するデータまでもが、その価値を計測するモノサシの役割を果たすことが期待されるのです。

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