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変わらぬ味を生む極意、ブレンドの妙 栃木・惣誉酒造 ぶらり日本酒蔵めぐり(12)

2019/7/20

全国新酒鑑評会で9年連続、金賞を受賞している惣誉酒造

「地元で愛される酒を造り続ける」。惣誉(そうほまれ)酒造(栃木県市貝町)は、そんなモットーを掲げる。とはいえ、志向は内向きではない。9年連続で全国新酒鑑評会の金賞を受賞し、海外の市場にも目を向ける。同社の酒造りの特徴を読み解くキーワードは「山田錦」「生酛(きもと)」「ブレンド」だ。

原料米にこだわり、安価な普通酒の仕込みにも最上級の山田錦を使う。全量、自家精米で、コメの周縁の雑味成分を効率的に除く扁平(へんぺい)精米を採り入れている。「玄米ベースで6割を山田錦が占めます。しかもすべて兵庫県の特A地区産です」と話すのは専務の河野道大さん。掛け米(もろみ造りに使うコメ)に一部、五百万石や、栃木県産の食用ブランド米「あさひの夢」を使う。

原料米の6割は兵庫県の特A地区産の山田錦(写真提供:惣誉酒造)

出荷量は栃木県内では上位に位置するが、9割が県内消費だという。都内にも「惣誉」を置く飲食店はあるが、ごく少数で、県外でお目にかかる機会はなかなかない。地元で支持され続けるために、どんな工夫をしているのだろうか。河野さんは「同じ味を提供し続けることに尽きます」と強調する。同じ味を出し続ける。当たり前のようでいて、これが結構難しい。

コメの質は収穫年によって違う。どの酒蔵でも、精米後のコメを水に浸す時間や、蒸す工程の管理などを調整して対応する。「それでも違いが出ます。極端に言えば、全く同じ工程で同時に造ってもタンクごとに違いが出る場合もあります」。それを克服する手だてが、ブレンドだ。醸造年度と使用酵母が異なる酒を混ぜ合わせ、前年までに出荷済みの商品の味を再現するのだ。

蔵内の冷蔵庫には火入れしてビン詰めされた酒が積み上がっている。貯蔵中はビン内熟成が進む。ロットごとに標識がついているわけではないが、ちゃんと整理して保管している。ある場所に積んであるのは「28醸造年度、使用酵母は14号」といった具合だ。醸造年度は3年分、使用酵母は3種類ある。この中から、市販品の味を再現する組み合わせを探る。

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