自宅の土地相続、特例使って節税 評価額が8割減相続税の基礎(2)

良男 住人が利用する割合って?

幸子 借地権と借家権を使って計算するの。借家権は全国ほとんどが3割で、借地権割合は地域によって異なるわ。仮に借地権割合が6割として計算すると、借家権の3割と掛けた18%を差し引けて、1億円から最終的には6560万円まで減らせるの。

良男 土地の評価額を減らせる以外に理由はあるのかい?

幸子 現預金で相続するよりも、アパートのほうが評価額を減らせる利点もあるの。例えば、5000万円の現金を元手にアパートを建てたとするわね。木造建物の場合、固定資産税評価額はおおむね4割減らせて3000万円になるわ。このアパートが満室なら、借家権の3割を引いた2100万円が評価額になるの。現金そのままだと5000万円なので、2900万円も評価額を減らせることになるわ。

良男 賃貸アパートを建てたほうが得な気もするな。

幸子 少し前までは相続税の節税策として金融機関からお金を借りてアパートを建てる例が相次いでいたわ。でも、借入金を返す元手となる賃料収入は将来、減る可能性もあるの。相続税の節税効果と比べて、アパート経営の負担が大き過ぎないかどうかなど、総合的に判断することが大事よ。

■賃貸活用 経営の自覚を
税理士 木下勇人さん
土地を相続する際の節税策として、賃貸用不動産を活用する人は多くいます。土地を所有する本人は将来の相続税対策のつもりでも、実際は不動産経営に一歩踏み出しているということを自覚していない人も多いようです。株式投資などで資産運用をする際、リスクを取っていることを認識する必要がありますが、それは不動産経営でも同じことです。
自己資金ではなく、金融機関からの借り入れで建てた場合は当然、返済の義務があります。賃料収入だけを原資に返済する仕組みを採用する例は少なくありませんが、賃料は常に一定とは限りません。賃料収入が減った場合、返済が滞る可能性があることは認識しましょう。また、管理や維持、修繕といった費用がどれくらいかかるのかなど、専門知識を身につける必要もあります。
(聞き手は藤井良憲)

[日本経済新聞夕刊2019年7月17日付]

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