芸人の「闇営業」法的な問題は? 暴排条例に抵触も弁護士 志賀剛一

また、問題になるのが「専属」という言葉です。実演家契約は1社との間で専属である必要はなく、複数の芸能事務所との間で交わすことも可能ですが、1社との間で専属契約を締結した以上、芸能事務所は独占的な権利を有することになり、他社からの仕事や芸能事務所を通さない直接の仕事を受けることはできないはずです。

もちろん、この「専属」の部分も口頭での合意が成立しないわけではありませんが、大切な内容であるので、書面にしておくのが通常であろうと思います。

会社を通さない仕事、ある程度容認か

なお、大崎会長はインタビューでこんなことも話しています。

「闇営業という言葉を今回のことで初めて知った。要は会社を通さない仕事で、ぼくが入社したときからあって、今もある。どしどしやりなさいとは言わないが。『高校の同級生からイベントの司会を頼まれたので、次の日曜の昼から空けといてほしい』ということはある。そこで3万円をもらったときに、会社に5000円寄越せとか、半分寄越せとは言ったことはないと思う。ただ、100万円の仕事を個人で頼まれたときに、会社を通したほうがいいね、ということはあり得る」

これを読む限り、会社を通さない仕事を受けることについて、吉本興業はある程度認めていたという理解も可能です。

では、法的にも問題はないでしょうか。最近、所属芸人の収入が少ないことへの同情もあり「闇営業自体は違法ではない」とする擁護論も散見されるようになっていますが、私は法的な問題もあると考えています。

暴排条例や組織犯罪処罰法に抵触も

吉本興業のケースでは、「営業」した相手が(1)暴力団員であったケース(2)振り込め詐欺グループであったケース――の2つが報じられています。

(1)については、各都道府県が定める暴力団排除条例(暴排条例)で禁止されている暴力団員等への利益供与に該当する可能性があります。実際、暴力団主催のパーティーで歌を披露したことが「利益供与」にあたるとして、男性歌手が東京都公安委員会から条例に基づく中止勧告を受けた例があります。

注目記事
次のページ
所属芸人、税務申告を修正
今こそ始める学び特集