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サカナクション6年ぶり新アルバム CDは最後かも

日経エンタテインメント!

2019/7/27

2007年のデビュー以降、ロックとダンスミュージックの融合を掲げ、数々のヒットナンバーを生み出し、メジャーシーンの第一線を走り続けてきたサカナクション。彼らが6月19日に新アルバム『834.194』をリリースした。実は、13年に発売した前作『sakanaction』以来、オリジナルアルバムとしてはなんと約6年ぶりの作品。なぜそこまでの長い期間、アルバムを出さなかったのか? ライブの台頭やCDからストリーミングへの移行といった、変化し続ける音楽業界の中で、フロントマンの山口一郎が考え続けてきたことを聞いた。

2005年に結成した、山口一郎(ギター&ボーカル)、江島啓一(ドラム)、岩寺基晴(ギター)、草刈愛美(ベース)、岡崎英美(キーボード)の5人組ロックバンド。今夏は、「JOIN ALIVE 2019」でヘッドライナーを務め、「SUMMER SONIC2019」では、コラボイベント「NF in MIDNIGHT SONIC」を開催する

「僕自身、音楽を聴く手段はストリーミング中心になりました。自分自身のリスニングスタイルを考えても、単純にただCDをリリースして、そこだけでビジネスしていこうという考え方はもう違うのかなと。世界を見ても、いまだにCDが売れているのは日本だけだし、ある意味それはCDを買って応援したいと思ってくれるファンに甘えている部分がある気がします。

昨年発売したベスト盤やライブDVDなどがそうですが、近年の僕たちは、パッケージを出すのであれば、『音楽ソフトのプロダクトとしての価値』を高めるために、ジャケット写真などにこだわってきました。例えばアーティストグッズのTシャツやタオルって、日常でも使えるじゃないですか。CDやDVDも音楽を聴くためだけに買うのではなく、作品の一部として、アートや本を買うような感覚になってもらえればと思い、取り組んできました。音楽業界が大きく変化するなかで、何をリスナーに向けて発信するべきなのかを葛藤し続けた6年でしたね。それに区切りを付ける意味でも、CDという形態をメインで出すアルバムとしてはラストになるかもしれないと思っています」

■ドロップアウトも考えた

アルバムを出さなかったこの約6年間、様々な葛藤を続けるなかでサカナクションは、代名詞とも言える踊れるロックチューンではなく、あえて内省的なメロウナンバーをシングルでリリースする時期もあった。ニューアルバムには、それら2つの方向性を反映した楽曲を収めている。

「この6年間、音楽業界の中で自分たちが伝えたいものを伝えられなかった葛藤、自分たちができていなかったことを改めて知ってまた動き始めたこと、そしてファンとの関わり方など、全ての思いを凝縮したのがこのアルバムです。

なぜこうなったかというと、大きな転機がいくつかあったからです。実は、13年に前作のアルバム『sakanaction』を出すにあたり、2つの目標を立てていました。それは「20万枚のセールス」と「アリーナライブ2万人の完売」。そのためにシングル曲では、『僕と花』(12年)や『ミュージック』(13年)でドラマのタイアップをやったり、『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)では、あえて楽器を持たずに一列に並んでMacで演奏するなど、戦略的に話題を仕掛けることで両方を達成できました。

そして次の目標として、さらにセールスや動員を伸ばそうと思った時に、これまでのやり方では無理だと気付いたんです。音楽界における政治的な力学も必要だったし、自分たちの意図しない楽曲を作っていく必要もあった。でもそれは同時にファンへの一番の裏切りになってしまう。

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