サンドウィッチマン 東北の現状を伝えていくのが使命

日経エンタテインメント!

スタッフへの気使いも忘れない。若いADにも声をかけたり、スタッフをいじって現場を和ませる。段取りが悪く、雰囲気が悪くなりかけると、2人がフォローに回って嫌な空気を作らせない。「風貌はいかついですが、優しいです。そして全然裏表がない。僕が知っているなかでこんなに変わらない方は、サンドさんとウド鈴木さんくらい(笑)。この番組は予算も人の数も少ないのですが、ロケのときに『今日は楽しい。オフだから』と言ってくれたりして。仕事と考えないくらいの身内感覚でやってくれるので、1番素が見える番組でもあると思います」

もちろん、芸人としての腕は確かで、台本の意図するところののみ込みが早く、放送で採用したくなるシーンの撮れ高も多い。「人を傷つける笑いをやらないし、お笑いの軸がしっかりしている。毎年オール新ネタの単独ライブツアーをやったりしていて、実は見えないところでかなり努力していると思います。ロケバスでは爆睡してますが(笑)、これだけ忙しくても悲愴感が全くないのはすごいと思います」

震災で助かった者の使命

30代の男女からの支持が最も高いが、幅広い世代に受け入れられていることが分かる。10代、30代~50代は男女とも芸人部門では1位の数値

『ぼんやり~ぬTV』とサンドのことを話す上で避けて通れないのが、11年の東日本大震災だ。この番組で気仙沼ロケをしているときに彼らも被災した。「現場ディレクターの判断で安波山に避難したので助かりましたが、津波が街を襲う様子を目の当たりにして、生かされた者の使命として、東北の現状を伝えていくと決心していました。このロケがなかったら、東北復興を見つめていく今のスタンスにはなっていなかったかもしれません。活動の幅も広がって、芸人としてだけでなく、人間としても成長したと思います」

番組では定期的に被災地にロケに行っており、収録が終わって商店街に立ち寄ると、両手いっぱいに買い物をして「また来るからね」と言って帰るのだという。「本当に被災地の力になっていると思います」

サンドは昨年結成20年を迎えた。圧倒的なスター性を持つタイプではないが、人柄の良さと人間性でトップに立った。タレントの在り方が変わってきている、1つの象徴的な結果だといえるだろう。

(ライター 内藤悦子)

[日経エンタテインメント! 2019年7月号の記事を再構成]

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