お任せで分散投資 ファンドラップの預かり資産拡大QUICK資産運用研究所 高瀬浩

リスクとリターンの関係を視覚的に分かりやすくするため、リスクを横軸に、リターンを縦軸にしたグラフを描いてみよう。グラフの原点とプロットした値を結ぶ直線の傾きが運用効率に相当する。傾きが急角度になるほど運用効率は高いことを示す。運用効率が最も高い三菱UFJ信託銀行の場合、リターンは3.5%とバランス型平均を下回ったが、運用効率を計算する分母にあたるリスクが3.3%と小さかったのが寄与した。

ファンドラップのリスクが相対的に小さいのは国内債券への投資比率が高いためだ。各ファンドラップが実際に投資している投信のうち残高上位2本をそれぞれ調べると、債券投信がずらりと並ぶ。ただその中でも、野村証券は外債型、三菱UFJ信託銀行は為替ヘッジをする外債型を組み入れるなど元本割れリスクを抑えながらリターンの上積みを狙う方針がうかがえる。

コストの見極めが重要

今回はファンドラップ、バランス型投信とも信託報酬など運用コストは控除した後の値で試算した。運用コスト以外での大きな違いは、バランス型投信の3本は購入手数料なしでの購入が可能で、運用資産額に対する管理費用もかからないのに対し、ファンドラップは費用が毎年発生する点だ。例えば管理費用は1%台が多いようだ。こうしたコストがリターンに見合うかどうかを慎重に検討する必要があるだろう。

ファンドラップでは税制面でも注意事項がある。課税対象となるのはラップ口座内での組み入れ投信の合算収益ではなく、個々の投信の売買益や分配金だ。売買益は損益通算を適用できるが、一任運用で配分比率を調整するリバランスを行った際に生じる換金益は課税対象となる。これに対しバランス型投信の場合、投信自体の内部で行うリバランス時の換金益は課税対象にならない。

今回示した運用成績はあくまで各ファンドラップの平均的な試算だ。各社は運用コース別の詳細な運用成績を開示していないため、対象投信(償還済みを含む)の日々のリターンを前日純資産残高で加重平均した値が全体の平均リターンに相当するという考え方で試算した。一部のロボ・アドバイザー運営会社は、運用コースごとに経費控除後の運用成績を開示している。費用に見合うサービスを提供しているかどうか説得力を高めるために、ファンドラップでも情報開示の拡充が必要になりそうだ。

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