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不動産は「やり過ぎ」なければ魅力的(苦瓜達郎) 三井住友DSアセットマネジメントシニア・ファンドマネージャー

2019/7/16

■過熱が目立った投資用アパート

その中で、近年「やり過ぎ」が目立った分野と言えば、資産家でも高所得層でもない人々に対する投資用アパートの販売でした。地域金融機関の融資姿勢が緩み、頭金なしでもローンを組めるケースが出てきたため、リスク負担能力の低い人々にも物件販売が行われ、その周辺ではさまざまな不正行為もまん延していました。

昨年、色々な事件が報じられたこともあり、現在では個人投資家向けの融資審査は厳格化され、リスク負担能力が低い人々への融資は激減。リスク負担能力が高い人々に関しても審査期間が長期化する傾向にあります。しかし、そのために不動産市況全体が崩れるような事態には至っていないと認識しています。

■残る要注意物件は……?

それでも要注意分野もあります。最も懸念されるのは大阪の宿泊特化型ホテルでしょうか。外国人観光客の増加で需要に火がつき、開発の容易さや地価の相対的な安さから大量供給が続いてきましたが、民泊に対する規制が厳しくないこともあり、現時点ではかなり需給が緩んでいる模様です。今後もしばらく大量供給が続くことを考慮すると、かなり厳しい調整局面を覚悟しなくてはならないかもしれません。

その他の分野に関しては、さしあたり大きな問題はないと考えています。以前懸念していた東京の大型再開発オフィスビルも、一番の大量供給局面である今年から来年に関しては、企業収益の改善を背景とした増床需要によって乗り切れる見込みです。東京の中小型物件や地方中核都市に関しては、そもそも建設費上昇などの要因で新規供給が少ないため、オフィス需給はきわめて締まっています。

中長期的には、外国人労働者の受け入れによる賃貸住宅需要の下支えに注目しています。日本全体の人口減少に対して、数分の一でも新規流入が加速すれば、地域や分野によってはかなり市場が活性化するのではないかと期待しています。

プロのポートフォリオは運用に精通したプロが独自の視点で個人投資家に語りかけるコラムで、原則火曜日掲載です。
苦瓜達郎
三井住友DSアセットマネジメントシニア・ファンドマネージャー。1968年生まれ。東京大学経済学部卒業後、91年大和総研入社。アナリストとして窯業やサービス業の担当を経て中小型株を担当。2002年に当時の大和住銀投信投資顧問入社。中小型株ファンドの運用に携わる。

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