面白いとは 電通のヒットデザイナーが原点から考えるリブロ汐留シオサイト店

メインの平台中央に展示する(リブロ汐留シオサイト店)
メインの平台中央に展示する(リブロ汐留シオサイト店)

ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今回は定点観測しているリブロ汐留シオサイト店だ。新刊点数もだいぶ戻ってきて、ベストセラー上位にも6月以降に刊行された新刊が多くなってきている。そんな中、勢いのある売れ行きを示していたのは、電通のアートディレクターが面白さについて考え抜いた発想術、思考法の本だった。

読み手と一緒に考えるスタイル

その本は岩下智『「面白い!」のつくり方』(cccメディアハウス)。著者の岩下氏は1979年生まれの電通のアートディレクター兼デザイナー。キリンビール「のどごし〈生〉」のCMキャンペーン企画や本物のサザエの貝殻でラジオを作る「SAZAE RADIO」といったヒット企画を手がけている。その著者が「面白い表現とは何か」「面白い表現をするにはどうすればよいか」を、読み手と一緒に考えていくのが本書だ。面白い企画を考えてくれなどと言われて困ってしまいがちなビジネスパーソンには、一から思考を立て直してくれる内容に仕上がっている。

著者が考察対象にしているのは、CMづくりに限ったことではない。SNS(交流サイト)での発信から日常生活で夕食のメニューを考えることまで、あらゆるコミュニケーションシーンでの表現に向けて「面白い」のつくり方を考えていく。さらに表面的なノウハウを披露するのではなく、そもそも面白いとはどういうことなのかという原点に立ち返って考察を進めるのが本書がとる方法だ

「面白さの地図」をつくる

全体は6章構成。まず1章では、辞書にあたったり実感を思い出したりしながら、「面白いって何だろう」という問いを詰めていく。2章ではパターン分類をしながら「面白さの地図」をつくっていく。共感から来る面白さなのか、違いがもたらす面白さなのか、あるいは笑える面白さなのか、趣のある面白さなのか、いくつかの軸を配置して集合図のような地図を描き、自分の笑いのツボを探していく。過去に自分が面白いと思ったものを観察してそのツボの精度を上げていく方法も3章で示される。読者は著者の思考法を参考にしながら自分なりの「面白さの地図」をつくってみたくなるはずだ。

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