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50代でモテ期到来 高齢オスのゾウ、交尾にフル回転

日経ナショナル ジオグラフィック社

2019/7/22

ナショナルジオグラフィック日本版

小さなメスと交尾しようとするオスを、ほかのメスが妨害する。ケニアのサンブル国立保護区にて(PHOTOGRAPH BY MICHAEL NICHOLS, NAT GEO IMAGE COLLECTION)

体高3メートル余り、体重6トンを超すアフリカゾウ「マット」は、地球の陸上で最大級の動物だ。厚い皮膚を持つこのオスは、52歳という年齢にもかかわらず、今も驚くほどのエネルギーを交尾に費やしている。

2019年6月24日付けで学術誌「Journal of Animal Ecology」に発表された新たな研究によれば、マットのような高齢のオスは、メスを探し出して交尾することに若いオスよりずっと多くの労力をつぎ込んでいることがわかった。

マットは、ケニアのサンブル国立保護区とバッファロー・スプリングス国立保護区にかけて分布する個体群の一員であり、1年のうち約3カ月間、生殖行動に駆り立てられる。生物学者が「マスト」と呼ぶ状態だ。マストの間、中年から高齢のオスのゾウは食事や休息にほとんど時間を割かず、可能な限り多くのメスと交尾しようと、サバンナを歩き回る。メスは母系集団で生活しており、オスはマスト期に入るまで別のグループで暮らすことが多い。

「マスト期のオスは、テストステロン(いわゆる男性ホルモン)工場のようです」。今回の論文の共著者で、英オックスフォード大学博士課程修了後の研究者、ルーシー・テイラー氏はこう話す。マスト期のオスは、においの強い尿を絶えずしたたらせ、ほほの特殊な腺がふくらみ、フェロモンを含んだ濃い液体をそこから分泌させる。

これが効果を発揮する。「マスト期のオスは、そうでないオスよりもはるかに有利です」と話すのは、シンシア・モス氏だ。ゾウの保護団体「アンボセリ・トラスト・フォー・エレファンツ」の設立者で、代表を務めている。

マスト期のオスは、メスにはとても魅力的に感じられる。2007年のある研究によれば、1つの個体群にいる子ゾウの80%近くが、マスト期のオスと交尾して生まれた子だったという。

ゾウのオスは15歳ごろから交尾できるようになるが、マスト期のリズムが規則的になるのは35歳ごろからだ。そして50歳までには、メスに向かって駆け出さんばかりになっている。たいていの哺乳類は年齢と共に繁殖力が弱まっていく中で、こうした過程をたどる動物は珍しい。

この発見は単に興味深いだけではない。国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで危急種に指定されているこの動物の保護に大きく関わってくる可能性がある。象牙密猟者やハンターは、高齢の大きなオスをよく標的にする。一方、生殖に積極的なこれらのオスが個体群からいなくなると、個体数にどう影響するのかは明らかでないと著者らは話している。

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