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おむすびで国と国を結ぶ 国産とスペイン米混ぜたら…

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NIKKEI STYLE

日本のコメと外国のコメを混ぜたおむすびで2つの国を結ぶという、奇抜なようでいて意外に納得感のある試みが始まった。名前はUnited Rice Ball(ユナイテッド・ライスボール)。第1弾は日本の「ひとめぼれ」とスペインの「レドンド」をミックスしたおむすび。6月末、スペイン大使館の文化施設インスティトゥト・セルバンテス東京(東京都千代田区)で参加者に振る舞われた。

コメ同士、たとえ国が違っても混ぜて握ればうまくいくかと思いきや、そんな単純ではない。含まれる水分も性質も全く異なるため、うまく1つにならないのだ。それでも、料理人の創意工夫により、異なる2つの国の文化の結晶のような小さなおむすびが4つ生まれた。筆者もテーブルに着きおむすびを通じた文化交流に参加してみた。

主催したのは、電通に勤務する倉成英俊さんやお米ジャーナリストの柏木智帆さん、フードユニット「つむぎや」の金子健一さんと松浦裕さんらのチーム。駐日スペイン大使を含む日本、スペイン両国からの参加者を前にあいさつした倉成さんは「集まってくれた人たちもぜひ、結ばれてほしい」と交流を呼びかけた。

約10年前に半年間住んでいたスペインへの恩返しの意味も込めて、第1弾をスペイン米に決めたという倉成さん。これから毎年1カ国ずつ、「おむすび相手」を変えながら続けていくという。

4つのおむすびはまず、シンプルな塩むすびから始まった。食感は普段食べ慣れている日本のおむすびと比べて硬め。スペイン米の存在感を口の中に感じた。いつもより2~3倍は多くそしゃくしただろうか。塩味を飛び越えるように、オリーブの香りが口の中に広がっていくのを味わった。

聞けば、表面を油でコーティングして中にうまみを閉じ込める目的で、スペイン米をオリーブオイルでいためてあるという。こうした下ごしらえの後に、日本米と一緒に炊き込んだ。

オリーブオイルでいためる工程を経ずに普通に一緒に炊いても、2つの国のコメはマリアージュに至らない。スペイン米が日本米の水分を吸いすぎてしまうのだ。この2、3口サイズの小さな塩むすびにたどり着くまで、どの品種を使うのか、どの調理器具で炊くのか、料理人は20から30パターンほどを試したという。

2つ目は発酵むすび。コメの炊き方は塩むすびと一緒で、生ハム「ハモンセラーノ」が巻かれていた。「生ハムとおむすび?これは違和感があるかもしれない」と思いながら口に運ぶと、濃厚かつフルーティーで意表を突かれた。長野県松本市の野沢菜のつくだ煮と、スペインの羊のチーズ「ロンカル」という、2つの国の発酵食品が一緒に握られていた。

発酵食とは、その国や地方固有の常在菌を生かしてつくるまさに固有の文化の映し鏡だ。ワインにも日本酒にも合うはず。日本の小料理店やスペインバルで提供されていても驚かない。

会場では、お米ジャーナリストの柏木さんのプレゼンテーションが始まった。世界のコメに精通している柏木さんによると、日本とスペインではコメに対する考え方が相当異なる。日本人がコメに求めるのは新鮮さだが、スペイン人は火の通り方を重視する。日本人は舌触りの滑らかさや甘さなどを評価するが、スペイン人はアルデンテの硬い食感を追い求める。世界にはなんと多様なコメ文化があることかと、プレゼンを聞きながら感じ入った。

柏木さんらが今回のイベントで選んだコメは、スペインのレドンドというアルデンテを出しやすい品種。そして日本からはひとめぼれ。ひとめぼれのもっちり感がレドンドのアルデンテを際立たせる。さらに、ひとめぼれの粘着力を生かしてパラパラのレドンドとの一体化を狙った。

さて、3つ目のおむすび。ラッピングを開くと、すし飯のような香りがふんわりと漂う。見た目も淡い「和」の色彩だ。口に含むと食べ慣れたような、でも、少し違う……。日本の酢ではなく、シェリー酒ビネガーとバルサミコ酢による酢飯だった。そこにキュウリを塩で煮て乳酸菌による発酵を経た山形県の漬物が混ぜ込まれていた。酸っぱいけれど、さわやかなビネガーむすびだった。

次の4つ目で最後だ。会場で参加者にこれまでのごちそうおむすびへの感想を聞いてみた。

「一見してどこの国のおむすびかなと思ったけど、野沢菜の味でピュッと日本に引き戻されるような感じがあった」「日本の味とスペインの味がうまく混ざっている」など好意的な評価が相次いだ。

トリを飾る4つ目は、スペインを代表する料理、パエリアのおむすび。日本米はトマトジュースを吸わせた赤色、そしてスペイン米がターメリックによる黄色だ。パエリアといえば、魚介類がふんだんに乗った料理として知られる。魚介の風味は欠かせない。結論的には、完全にパエリアの味だった。この小さなおむすびの世界に魚介をどのように詰め込んだのだろうか。

答えは、日本の乾物にあった。パエリアはスペインのコメにスープを吸わせるのが基本。そこで今回は、桜エビ、いりこ、干しエノキなどから出るエキスをたっぷりと吸わせたという。

おむすびをつくった料理人ユニット「つむぎや」の金子さんは「インパクトがありつつ奇をてらわないようにした」と解説。同じく松浦さんは「結ぶ、握るという行為を入れるとご飯がごちそうになる。これがおむすびの精神性」と話した。

さて、来年はどこの国のコメとおむすびをつくるのだろう。この日提供された4つのおむすびはこの夜限りのもの。ご自身のお店で出さないのですか?と聞くと、金子さんは「もしお客さんからのご要望があればですね」と笑顔を見せた。

(桜井陽)

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