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おむすびで国と国を結ぶ 国産とスペイン米混ぜたら…

一見、シンプルな塩むすびだが……

聞けば、表面を油でコーティングして中にうまみを閉じ込める目的で、スペイン米をオリーブオイルでいためてあるという。こうした下ごしらえの後に、日本米と一緒に炊き込んだ。

オリーブオイルでいためる工程を経ずに普通に一緒に炊いても、2つの国のコメはマリアージュに至らない。スペイン米が日本米の水分を吸いすぎてしまうのだ。この2、3口サイズの小さな塩むすびにたどり着くまで、どの品種を使うのか、どの調理器具で炊くのか、料理人は20から30パターンほどを試したという。

2つ目は発酵むすび。コメの炊き方は塩むすびと一緒で、生ハム「ハモンセラーノ」が巻かれていた。「生ハムとおむすび?これは違和感があるかもしれない」と思いながら口に運ぶと、濃厚かつフルーティーで意表を突かれた。長野県松本市の野沢菜のつくだ煮と、スペインの羊のチーズ「ロンカル」という、2つの国の発酵食品が一緒に握られていた。

生ハムが乗った発酵むすび

発酵食とは、その国や地方固有の常在菌を生かしてつくるまさに固有の文化の映し鏡だ。ワインにも日本酒にも合うはず。日本の小料理店やスペインバルで提供されていても驚かない。

会場では、お米ジャーナリストの柏木さんのプレゼンテーションが始まった。世界のコメに精通している柏木さんによると、日本とスペインではコメに対する考え方が相当異なる。日本人がコメに求めるのは新鮮さだが、スペイン人は火の通り方を重視する。日本人は舌触りの滑らかさや甘さなどを評価するが、スペイン人はアルデンテの硬い食感を追い求める。世界にはなんと多様なコメ文化があることかと、プレゼンを聞きながら感じ入った。

柏木さんらが今回のイベントで選んだコメは、スペインのレドンドというアルデンテを出しやすい品種。そして日本からはひとめぼれ。ひとめぼれのもっちり感がレドンドのアルデンテを際立たせる。さらに、ひとめぼれの粘着力を生かしてパラパラのレドンドとの一体化を狙った。

酢に秘密のあるビネガーむすび

さて、3つ目のおむすび。ラッピングを開くと、すし飯のような香りがふんわりと漂う。見た目も淡い「和」の色彩だ。口に含むと食べ慣れたような、でも、少し違う……。日本の酢ではなく、シェリー酒ビネガーとバルサミコ酢による酢飯だった。そこにキュウリを塩で煮て乳酸菌による発酵を経た山形県の漬物が混ぜ込まれていた。酸っぱいけれど、さわやかなビネガーむすびだった。

次の4つ目で最後だ。会場で参加者にこれまでのごちそうおむすびへの感想を聞いてみた。

「一見してどこの国のおむすびかなと思ったけど、野沢菜の味でピュッと日本に引き戻されるような感じがあった」「日本の味とスペインの味がうまく混ざっている」など好意的な評価が相次いだ。

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