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中村倫也、急上昇男優トップ 出演作「全部濃かった」

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NIKKEI STYLE

2018年、圧倒的に"気になる"存在になった俳優の1人に中村倫也がいる。それを裏付けるように、タレントパワー調査で前年からの伸びを比較した2019年版男優急上昇ランキングでは1位に輝いた。

日経エンタテインメント!が発表している「タレントパワーランキング」は、アーキテクトが3カ月に1度実施している、タレントの「認知度(顔と名前を知っている)」と「関心度(見たい・聴きたい・知りたい)」の調査を基に、2つのデータを掛け合わせて「タレントパワースコア」を算出、ランキング化したものだ。(調査の詳細は総合編の「タレントパワー サンドウィッチマン大躍進で初の1位」をご覧ください)

18年は1月期の『ホリデイラブ』で独占欲の強いモラハラDV夫を、一転して4月期のコメディ作品『崖っぷちホテル!』では競艇狂いの総料理長、そして10月期の『ドロ刑-警視庁捜査三課-』では、捜査一課出身の元エリートでプライドの高い刑事を演じるなど、年間を通して連ドラでの活躍が目立った。なかでも飛躍につながったのが、NHKの連続テレビ小説(以下、朝ドラ)『半分、青い。』への出演だ。ヒロインの鈴愛(永野芽郁)の初恋の相手となる朝井正人役で、5月の半ばから約1カ月間登場。"ゆるふわモテ男"として話題になり、関心度の大幅アップに伴ってパワースコアが伸びた。

「昨年出演した作品は、全部が濃かったですね。1つひとつのエッジが効いていて。『半分、青い。』は、みなさんが『正人、気になる』みたいな感じでプッシュしてくれたので、その力だと思います。登場人物がみんな一筋縄ではいかない人ばかりで、演じていて刺激的でした。朝ドラはデビュー間もない頃、『風のハルカ』(05年)でも出演させていただきましたが、僕自身経験を重ねてきたので、その頃とは見える景色も全然違いました。

昨年出会って印象的だったのは、『ドロ刑』で共演した野間口徹さん。格闘技がめっちゃ強いんですよ。『カッコいいけどコワッ!』と思って(笑)。『ドロ刑』ではクセの強い刑事役で、ずっと眉間にシワを寄せていたのを覚えています。作品のコミカルさとか、三課のチームのテンポ感に溶け込めるようにと意識していました」

調査期間で最もスコアが伸びたのは、今年2月だ。連ドラ『初めて恋をした日に読む話』が放送中のタイミングとなる。主人公の順子(深田恭子)の高校時代の同級生で、元ヤンキーの高校教師・山下一真を演じた。ドラマ終盤にはツイッターのトレンドで、「山下くん」「山下先生」がランキング上位を独占したこともあったほど、人気を得たキャラクターだった。

「(横浜)流星のやっている匡平と、(永山)絢斗君の雅志と、僕の山下と、3人のカラーがはっきりしていて、男臭く取り組んだというか。キャラクターの振り幅だったり、物語の流れのなかで、周りの登場人物にどんな関係や影響を及ぼせるのかみたいなことを考えましたね。どの役もそうですが、共感したり理解しながら演じました。山下のほれたら『ほれた』って言うところとかは、『ま、そうだよね』って思いながら」

多くの支持を得たここ1年の経験が今後の俳優人生にプラスになりそうかと聞くと、「全てが地続きだと感じている」と言い、「意識していないところで血肉になる部分がきっとあり、それが後々生きてくるのではないか」と語った。

そんな中村が新たな挑戦をしたのが、実写化されて6月から公開中の映画『アラジン』だ。プレミアム吹替版でアラジンの声を担当している。オーディションに参加して抜てきされた。

「正直、選ばれると思っていなかったです(笑)。オーディションでも声をあてたり、楽譜と楽曲をいただいて歌ったりしましたが、そういう経験自体がこれまでにあまりなかったので、楽しみながら取り組みました。

選ばれてからは、責任重大だなって。誰もが知る世界的な作品に携われるというのは、身が引き締まる思いでした。吹替えの仕事は初めてで、他者の芝居の表現やリズムに言葉だけをあてていくのはあんばいも微妙で、発見が多かったです。15年くらいこの世界にいて、30歳も過ぎると、初体験みたいなことが少なくなってくるじゃないですか。だから『アラジン』の経験はとても新鮮でした。

最初に演出で『声を高く』って言われたんです。なんでだろうと思いましたが、要は目をキラキラ輝かせている子どものようなつもりでやるといいんじゃないかということで、合点がいって。それまでは単純にキーを上げてたんですが、腑に落ちてからは全部がかみ合っていきました」

最後に、刺激を受ける同世代の俳優を聞くと、「賀来賢人」という答えが返ってきた。

「以前一緒に『RENT』(12年)というミュージカルをやったのが出会いです。僕もゲスト出演させてもらった『今日から俺は!!』(18年)で、賢人は主演で。今年会ったとき、『なんか似たような時期にくすぶって、似たようなタイミングで注目されてるな、俺ら』っていう話をしたんですよ(笑)。持っているものは全然違いますが、応援したい人物であり、戦友として、賢人は大きな存在ですね」

(ライター 内藤悦子)

[日経エンタテインメント! 2019年7月号の記事を再構成]

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