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「就職氷河期世代」の切実な危機 現状と処方箋探る 人生の景色が変わる本(6) 『アラフォー・クライシス』

2019/7/11

『アラフォー・クライシス』 NHK「クローズアップ現代+」取材班著 新潮社

数年前、衝撃の調査結果が明らかになった。世代別の平均月収を5年前と比較したところ、35~44歳のアラフォー世代の給与だけが下がっていたのだ。バブル崩壊後に社会に出た、いわゆる「就職氷河期世代」は今、どんな状況にあるのか。本書はかつてNHKの報道番組で放送され、反響を呼んだ内容をまとめたもの。仕事、結婚、介護など、さまざまな局面で危機に瀕しているアラフォー世代の深刻な現状が、データや当事者たちの悲痛な声を通じて明らかになる。彼らの苦境の原因は決して「自己責任」ではなく、社会や雇用の構造、時代の変化と切り離せない。アラフォー世代の人もそうでない人も、今後の社会や自分の生き方について考えさせられるはずだ。

■要点1 日本独特の慣行が非正規ループを生む

アラフォー世代の労働人口は約1500万人。このうち、383万人が非正規雇用者だ。背景にあるのは日本独特の「新卒一括採用」という慣行。新卒の時点で正社員になる機会を逃すと、その後も正社員になりにくいのだ。非正規雇用で働く場合、仕事の内容や雇用期間が限定的になりがち。企業研修を受ける機会も少なく、スキルや技能を蓄積しにくい。この結果、非正規雇用から抜け出せない「非正規ループ」に陥ってしまう。一方、氷河期に正社員になった人でも、希望の企業に入れなかったため転職するケースが多く、勤続年数が短い傾向がある。さらに、すぐ上のバブル世代が社内に大勢いるため昇進が遅れるといった事情から、給与が伸び悩んでいる。

■要点2 不安定な雇用が結婚や出産にも影響

全世代で未婚化が進むなか、実は最も未婚率が伸びているのがアラフォー世代だ。非正規雇用であることや、正社員であっても給与が伸びないことなどから、男女共に結婚相手に経済力や安定を求めるが、同様の理由でなかなか相手が見つからない。また、苦労した末にやっと手につかんだ職を手放したくないと仕事に邁進(まいしん)するうち、気づいたら出産のタイムリミットが迫っていたというケースも。そんなアラフォー世代の子供世代、すなわち税金や年金の払い手は大幅に少なく、将来の社会保障も逼迫を免れない。

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