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私のリーダー論

経営はゴールのない駅伝 創業者からのタスキをつなぐ キユーピー 長南収社長(下)

2019/7/18

「伝えるのと伝わるのは違うということも学びました。大阪で『考えておく』はやらないと同じということを先輩からよく言われました。商談相手のバイヤーも一人一人違います。心掛けたのはその人を徹底して『裸』にすることです。結婚しているのか、家族は何人いるのか。相手の趣味が釣りと分かれば、知らないふりをして、釣りに行った話を振ってみたこともありました。相手に興味を持つことで、長い期間をかけて信頼関係を築くことができました」

――次世代を担う人材の育成にどのように取り組んでいますか。

「10年前に『董静和(とうせいわ)塾』と呼ぶ取り組みを始めました。部長級以上の8人を集め、1年間、それぞれの職場が抱えている課題や対策を徹底的に話し合ってもらいます。会社を大きく変える変革がテーマです。それぞれの通常の仕事との兼任ですので大変です。最後のプレゼンテーションには、役員が全員出席して評価をします。資料づくりが甘かったり、従来と同じような発想の議論だったりした際には、厳しいことも容赦なく言います。メンバーは普段、部署も異なり、接点もありませんが、この交流を通じて新たな考えも身につきます。ここで育った人材から役員も出ていて、一定の成果を上げていると思います」

■大切なのは地位の継承ではなく、理念の継承

「私は自分自身に社長にふさわしい秀でた能力はないと思っています。ですが、キユーピーで大切なのは地位の継承ではなく、理念の継承です。ですから、迷ったら理念に戻ればいいのだと考えています」

「経営はゴールのない駅伝。創始者の思いが染み込んだタスキを守り、つないできたから今がある」

「いってみれば経営はゴールのない駅伝です。創始者の思いが染み込んだタスキをみんなが守り、つないできたから今があります。次の100年がどうなるかなんて分かりません。100年前にはサラダも普及しておらず、こんな大きな市場をつくれるなんて誰も思っていなかったことでしょう。当社の企業メッセージは『愛は食卓にある』ですが、『今どき古い言葉だね』と言われることがあります。でもいいじゃないかと。顧客を幸せにする会社でありたいという理念が変わらなければ、経営陣が変わったとしても、次の100年に向かっていくことができるのです」

■理念を磨き、変革に挑戦

「2019年に創業100年を迎えるにあたり18年に、30年までの長期ビジョンを策定しました。女性管理職比率30%や商品廃棄量の半減のほか、1日あたりの野菜摂取量の目標値350グラムの達成への貢献などを目標に掲げました。計画が終わるころには今の経営陣は誰も残っていません。ですので、我々だけでビジョンをつくるのは無責任だと考え、40歳前後の9人を選び、事業横断型で400時間をかけて策定してもらいました」

「長期ビジョンのベースにはやはり家族経営があります。良い商品は良い原料からしか生まれないという原則を徹底したうえで、楽業偕悦(らくぎょうかいえつ)の理念を磨き続ければ、どんなに大きな変革のなかでも成長していけると信じています」

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長南収
1980年(昭55年)鹿児島大水産卒、キユーピー入社。2001年仙台支店長、08年大阪支店長、12年東京支店長、14年取締役、16年取締役常務執行役員、17年2月から社長。山形県出身。

(薬袋大輝)

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