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食の達人コラム

わずか34年で最高級ワイン フランチャコルタの奇跡 エンジョイ・ワイン(14)

2019/7/12

歴史を感じさせるグイド・ベルルッキの地下貯蔵庫

イタリアの最高級スパークリングワイン「フランチャコルタ」の歴史は意外に浅い。デビューは1961年で、ライバルとも称されるフランスのシャンパンに遅れること約300年。短期間で世界的な名声を確立できたのは、前回(「自然派スパークリング 伊フランチャコルタの実力」 )述べた恵まれた気候に加え、ワイン造りの長い歴史と現地の人々の旺盛なベンチャー精神のたまものだ。

フランチャコルタ地域のほぼ中心に、ひときわ歴史を感じさせる石造りの建物が鎮座している。「グイド・ベルルッキ」だ。同地域には約120のワイナリーがあるが、ベルルッキはその中でも特別な存在だ。1961年に、現在フランチャコルタと呼ばれる高級スパークリングワインを世に送り出したのが、まさにこのワイナリーだからだ。それを誇示するかのように、同社の商品ラインアップには「ベルルッキ‘61」と名付けたシリーズがある。

グイド・ベルルッキはもともと同ワイナリーを設立した貴族の名前だ。ベルルッキ家は代々、フランチャコルタの地でワイン造りに携わってきた。スパークリングワインが生まれたのは戦後だが、同地でのワイン造りの歴史は古い。記録をたどると、16世紀にはすでに地元の消費量を上回るワインが生産されていた。1809年に作成されたナポレオンの土地台帳によると、域内のブドウの栽培面積は千ヘクタールを超えていたという。

1950年代中ごろ、もっと高品質のワインを造りたいと考えていたグイド・ベルルッキは、地元出身の醸造家フランコ・ジリアーニに声を掛けた。ところが、当時まだ20代で野心あふれるジリアーニは、ふつうのワインではなく、イタリア人にも大人気だったシャンパンと同じスパークリングワインを造りたいと直訴。こうしてジリアーニは、ベルルッキから経済的な支援を受け、数年がかりでシャンパンと同じ瓶内二次発酵方式の高級スパークリングワインを完成させた。

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