株の決済期間が短縮 「株主優待取り」にメリット

株式市場としての国際競争力を維持する観点から決済期間の短縮を検討してきた(東京証券取引所)
株式市場としての国際競争力を維持する観点から決済期間の短縮を検討してきた(東京証券取引所)

16日から、株式を取引する際の決済期間が1日分短縮されると聞きました。どのような仕組みになるのか、投資家にとってどんな影響が出てきそうなのか教えてください。

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世界的な潮流、欧米などの主要市場先行

16日以降に売買が成立した株式は受け渡し日がこれまでの3営業日後から2営業日後へと1日早まります。16日に約定した場合、従来の決まりだと19日に株式と代金が受け渡されていましたが、新ルールの下で18日となります。

決済期間の短縮は売買(Trade)日の2日後ということで「T+2」と呼ばれ、世界的な潮流です。米国や欧州など海外の主要な株式市場はすでに2営業日後としています。株式市場としての国際競争力を維持する観点から東京証券取引所などは数年前から決済期間の短縮を検討してきました。

決済期間が短くなると、取引した相手や金融機関などが万が一破綻した場合のリスク軽減につながります。買い付けた株式の受け渡しが滞るリスクが1日分減ります。証券業界全体の決済事務の効率化にもつながります。

個人投資家、利便性高まる面も

個人投資家にとって利便性が高まる面もあります。特に株主優待や配当の獲得に関心のある人に恩恵があります。

株主優待や配当をもらう権利を得るには、企業の株主名簿に名前が載る必要があります。この権利確定日は通常は決算期末にあたります。決済期間を考慮すると、投資家は数日前までに株式を買い付けておく必要があります。その日を「権利付き最終売買日」と呼びます。

今年7月31日に決算期末・権利確定日を迎える企業があるとして見てみましょう(図)。権利付き最終売買日は、従来ルールだと26日(金)ですが新ルールにより2営業日前、つまり29日(月)となります。29日に株式を買い付けておけば株主優待・配当の権利を得られます。

金曜夜の欧米市場見極め、月曜に判断可能

この例では土日を挟んで決済期間が短縮され、カレンダー上は最終売買日が3日後にずれることになります。投資家は日本時間の金曜日夜に開かれる欧米株式市場の動向や、市場に影響を及ぼす週末の国際情勢を見極めたうえで週明けの月曜日に株を買うかどうか判断できます。リスク要因をよりじっくり見極める余裕ができるのです。

権利付き最終売買日の翌営業日は一般に「権利落ち日」といいます。買った株を売却したとしても優待・配当を受け取る権利が失われることはありません。今年7月は30日(火)が権利落ち日です。投資家は新しい決済ルールを前提に売買のスケジュールを考えましょう。

[日本経済新聞朝刊2019年7月6日付]