ヘビーオンスTシャツ 年齢選ばず、1枚でも外出OK
特集 夏を乗り切る大人向けTシャツ(中)
夏を快適に過ごすには、休日のファッションも機能を重視したウエア選びがポイントとなる。それはシンプルな印象のあるTシャツでも同じ。大人に似合うTシャツを取り上げる特集の第2回は、ここ数年のトレンドとなっている、生地が厚い「ヘビーオンスTシャツ」を紹介する。厚手のため無地の白Tシャツ1枚でも見た目がラフになりすぎない。体形隠しにもひと役買う、まさに大人に最適なTシャツだ。
老舗メーカーの最厚モデル
ヘビーオンスTシャツが人気になっている理由について、「無地Tシャツのトレンドが定着したことで、Tシャツ1枚で着ても下着という印象を与えないことが大きい」と分析するのはヘルスニットのプレス、阿部省吾氏。「現在のファッションシーンは90年代ブーム。当時をほうふつとさせる肉厚な素材感がよしとされている傾向もあり、男女年齢問わず受け入れられている」
ヘルスニットは1900年に、アンダーニットウエアメーカーとして米テネシー州で創業。その肌着は丈夫なことで知られる。現在はTシャツのメーカーとしても世界中で支持されている。
今回取り上げたTシャツは、同社のラインアップでもっともヘビーウエートな8.26オンスの生地を使用したモデル。一般的なTシャツ生地は3~4オンス、スエット生地は9~13オンスなので、どれほど厚いかわかるだろう。
素材はUS100%コットン。特殊な製品洗いを仕上げに施し、ドライな質感を引き立てている。アクセントとして胸ポケットと、裾部分に70年代以前のビンテージから着想を得たユニオンチケットが付いているのもポイント。米国のワークウエアに端を発するブランドならではの質実剛健な1枚だ。
今年モデルチェンジを行い、従来品よりもさらに厚手になったという。「本来は消耗品であったTシャツの価値観が年々向上し、上質なTシャツを求める人が増えている。衣料品への購買欲が減っているなかで、耐久性があり見た目も高級感のある肉厚生地が注目を集めている」(阿部氏)。モデルチェンジ前と比べると3倍前後の売れ行きだという。
頑丈な作りで着るほどに味わいが増す
グッドウェアは、1983年に米マサチューセッツ州で創業したThe Goodwear Corporation, Inc.社が展開するファクトリーブランド。このTシャツは日本向けにリサイズを重ね、定番型となったレギュラーフィットモデルだ。
素材はUSコットン100%。空気の力を使って繊維をより合う「空気紡績(オープンエンド)」の糸を使用した7.2オンスのヘビーウエート生地で仕立てている。オープンエンドの糸は繊維の間に適度な空気を含んでおり、ボリューム感がある生地にもかかわらず、質感はドライで硬い風合いを持つ。
脇に縫い目のない丸胴製法を採用しているため、着心地は快適。またネック、アームホール、袖、裾の縫製にはダブルステッチを施し、頑丈に作られているのも特徴。創業時から受け継がれているというベースボール型の胸ポケットも個性的だ。
「大手セレクトショップからの依頼も多く、2019年は現時点で昨年の3倍近い輸入実績を上げている」(グッドウェア日本輸入代理店であるスタンレーインターナショナルのプレス、鈴木香織氏)。主な購買層は30~40代の男性で、リピーターが非常に多いという。「1枚で着てもサマになる」「Made in U.S.A.のタフな作りで長く着られる」「洗濯を重ねると独特の『味』が楽しめる」といった点が人気の理由だという。
スウェット並みの分厚さ、細部にも工夫
タフで味わい深い米国衣料のよさを取り入れながら、現代の日本に適したウエアを展開するグッドオン。今回紹介するTシャツは、USコットンを使用し、日本で仕立てたもの。武骨なだけではない、ファッション性を備えたヘビーオンスTシャツに仕上がっている。
2011年3月に発売した本モデルが生まれたのは「年長のユーザーはTシャツを1枚で着ることにコンプレックスを感じている」という調査結果を知ったことがきっかけだったという。大人がTシャツ1枚で安心して外出できるように、重厚な9オンスの生地を採用。薄手のスウェットに匹敵する厚みがある。
目の詰まった分厚く硬い生地は存在感があり、洗濯を繰り返しても生地が伸び縮みしにくい。ラグランスリーブやサイドベンツといったディテールを採用することで、厚みやゴワつきを気にせず動きやすい作りになっている。
「発売以降、販売実績を毎年更新する人気モデルで、2019年は現時点で過去最高のセールスを記録している」(グッドオンを展開するビーグッドカンパニーのセールスチーフ、広沢泰氏)。20~60代の男性を中心に支持され、老若男女問わずリピーターが多いという。好調の理由について「もともとは高年齢層をターゲットにしていた品番だったが、昨今の無地Tシャツブームにより若年層の購買が増えたため」と分析する。
Tシャツも機能で選ぶ アウトドアメーカー人気モデル
ヘビーオンスTシャツ 年齢選ばず、1枚でも外出OK
吸汗速乾 シャツの下に着るインナーも高機能に
【番外編】パンツや靴下、スプレーにシート 最新ひんやり夏小物
(ライター 津田昌宏、写真 野町修平=APT、スタイリング 宇田川雄一)
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