近年、進化が著しいエアコン。「電気代が高い」「温度調節が難しい」「内部の手入れが大変」などの課題を次々に改善し、最近では無線LANに対応することで外出先から操作できる機種も珍しくはなくなった。店頭に並ぶ各メーカーの最上位機にはいったいどんな機能がついているのか。家電ライターの田中真紀子さんに、各社フラッグシップモデルの特徴、力を入れている機能について解説してもらった。
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内部の汚れを凍結洗浄/日立

エアコン内部の熱交換器やファンの汚れは、臭いやエアコン能力の低下につながるため、定期的にお手入れをする必要がある。しかし部品を取り外さなければならないこともあってユーザー自身が行うのは難しい。自動で掃除するとうたうエアコンの多くも、掃除するのはフィルターのみだ。
この「お手入れ問題」にさらに踏み込んだのが日立ジョンソンコントロールズ空調。同社のエアコン「白くまくん」プレミアムXシリーズには、熱交換器の汚れとファンのホコリを自動で掃除する「凍結洗浄 ファンロボ」が搭載されている。

エアコン内部の熱交換器を凍らせてからたくわえた霜を一気に溶かし、熱交換器に付着したホコリやカビ、油汚れを洗い流す仕組み。人や部屋の環境を認識する「くらしカメラAI」により、人がいないときを選んで自動で掃除を行うほか、部屋の状況や生活シーンからエアコン内部の汚れ具合を予測し、掃除頻度をコントロールする。
生活を学習して温度調節/シャープ

利用者の生活や部屋の特徴をAIが分析、理想的な使い方をエアコンが学習するというのがシャープ。「プラズマクラスターエアコン」Xシリーズは、無線LANを内蔵し、クラウドのAIを通して、運転状況や使い方に関する情報を分析・学習する。その情報をもとに起床時間や外出時間などの生活パターン、部屋の冷えやすさや暖まりやすさと部屋の特徴を覚え、最適な運転を選択する。

ちょうどいい時間に無駄なく運転できるよう、最適な運転開始時刻を算出し、スマートフォンのアプリに通知。時間をかけて立ち上げることで消費電力量も抑えるという。人の不在時間もクラウドに蓄積して学習し、不在になると自動で「おでかけ運転」に切り替え、設定温度を最大5度ゆるめて無駄な冷やしすぎ、暖めすぎを抑えつつ、帰宅時に快適な温度に調整する。
未来を予測し効率的に冷房/パナソニック

未来を予測して適切な運転を行おうとしているのがパナソニック。「Eolia(エオリア)」WXシリーズは気象情報会社ウェザーニューズと提携し、AIが気象データを自動で取り込んで解析し、未来の空気の汚れを先読みして自動で空気清浄を開始する「AI先読み空気清浄」を搭載している。
