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日本ラグビー、戦術で世界驚かそう 観戦の余韻に喜び

ノンフィクション作家・後藤正治さん

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NIKKEI STYLE

アジア初のラグビーワールドカップ(W杯)が9月20日~11月2日に日本で開かれる。著名人に自分自身が思うラグビーの魅力を聞くインタビュー企画「W杯だ!ラグビーを語ろう」第10回では、『ラグビーロマン』などの著作があるノンフィクション作家、後藤正治(ごとう・まさはる)さん(72)に日本ラグビーが歩んだ道にふれてもらう。

後藤さんはファンとしてラグビーを長く愛してきた。『ラグビーロマン』は同志社大学や日本代表の監督を経験した岡仁詩さんの評伝だが、日本ラグビーの歴史や関係者についても詳しい。「帰り道に『きょうは本当にいいものを見せてもらった』と思わせてくれる」。観戦の余韻に浸る喜びが、このスポーツの大きな魅力だという。

――ラグビーとの接点は。

「戦前の同志社大学の予科でラグビーをしていたオヤジは、生涯、ラグビーを愛していました。旧制三高との試合で磯田一郎さん(元ラグビー日本代表、元住友銀行頭取)とトイメン(試合で向かい合うポジション)だったと聞きました。僕は高校時代には水泳部で、ラグビーは校内の大会に出たくらい。大学でやろうと思ったものの1カ月くらいでやめてしまいました。ただ、ラグビー自体にはずっと興味がありましたし、息子も同志社香里高校でラグビー部でしたね」

――ラグビーとはどんな競技だとお感じですか。

「最初は見てもよくわからないと思います。だけど最終的には単純なスポーツ。走って、パスして、蹴って、シンプルに力と力がぶつかり合う。僕は観客席の最前列で見るのが好きなんですよ。声が聞こえたり、骨のきしみ合いが伝わってきたりして。迫力があるんですよね」

「取材でずいぶんスポーツを見ましたけど、一番ワクワクするのがラグビーという気がします。(ひいきチームが)勝っても負けても、帰り道に『きょうは本当にいいものを見せてもらった』と思わせてくれる。そういう満足感にひたった記憶がいくつもありますね」

――長く日本ラグビーを見てこられて、その特徴をどうみていますか。

「海外の強豪国と四つ相撲をとれる力は、かつて一度もなかったと思うんです。それでも1960~80年代に、ニュージーランド(NZ)でオールブラックス・ジュニアに勝ったり、イングランドと接戦したり、スコットランドを破ったりした。当時の日本ラグビーは戦術的には世界で最も進んでいたんじゃないかな。小さな体で強豪に肉薄しようとすれば、戦術的な工夫しかなかったわけで、ものすごく努力した。NZの地元紙が褒めたくらいですから」

――その後の日本代表はどうでしょうか。

「世界でプロ化が進んで、体格の差を埋める工夫が難しくなっていった歴史だと思います。87年にW杯が始まって、各国もそこで勝つために必死だし、プロ化の流れも止められないものですから。だからジャパン(日本代表)もパワーラグビーをやらざるを得ないところはあるわけなんだけど、技の力や工夫は大事にしてほしいなと思いますよね。今はそれがちょっと乏しいかもしれない」

「世界には『日本のラグビーは面白い』と思ってくれているファンがいます。それはジャパンが、外国人がアッと驚くような新鮮な戦術を見せてきたからだと思う。負けたら何も残らないような戦い方は、どこかむなしいと思うんですよ」

――同志社大学を象徴する指導者、岡仁詩さんの評伝を書かれています。どこにひかれますか。

「ロマンチストで、非常に良い意味でリベラリスト。大事にしすぎるくらい個人を大事にした。選手だけでなく多くの指導者を育てた人でした。宮地克実さんや平尾誠二さん(いずれも元日本代表監督)もそう。ただ『育てる』という言葉自体は嫌いな人でしたね。人にはそれぞれ持ち味があって、それを引き出せたらいいと。だからプレーのことで教え子を怒ったことはないんじゃないですかね」

――大学ラグビーの意義をどうみていますか。

「日本のラグビーは歴史的に大学を中心に歩んできましたが、だからと言ってジャパンを勝たせるために、大学ラグビーをどうこうしようというのはいかがなものかと思います。岡先生は雑談で『シーズンで勝てなかったらすべてが終わるチームはむなしい。優勝しなかったとしても学生に残せたものがあれば、それが良いチームなんじゃないか』と。やはりノーサイドとかフェアプレーの精神とか、勝つことがすべてではないというところ、そこは大事にしてほしい気がするんですよね。世界だって、元はそうだった。サッカーのようにW杯や五輪の舞台がなかったのは、そういう勝利至上主義ばかりではない価値観があったからですよね」

――ご自身の著作以外で日本ラグビーを知るための推薦書はありますか。

「ジャパン、大学、高校の3つとも結果を残した指導者、大西鉄之祐さんを書いた藤島大さんの『知と熱』は悪くないですよ。大西さんの自著『ラグビー 荒ぶる魂』も悪くなかったと思いますね。大西さんは理論派であると同時に気合主義みたいなものを持っていて、それが日本ラグビーの持ち味になったんじゃないかな」

――良き指導者とは。

「プロ野球オリックスの監督だった仰木彬さんに、監督にとって一番大事なことは何ですかと聞いたら『選手運だ』と言ったんです。良い選手がいないと、監督の手腕を発揮しようがないと言うんだな。たしかに名監督と言われる人たちは、選手運に恵まれている。それから、『勝つ人』と『育てる人』はまた別なところがありますよね」

「指導者はつくろうと思っても、うまくつくれない。勝手に生まれてくるところがある。(日本ラグビー協会専務理事に就いた)岩渕健輔さんや早稲田大学の監督などを経験した(同協会理事の)中竹竜二さんとか、良い指導者はこれからも出てくると思うんですよね」

後藤正治
1946年12月、京都府生まれ。72年京大農卒。90年に『遠いリング』で講談社ノンフィクション賞、95年に『リターンマッチ』で大宅壮一ノンフィクション賞、2011年に『清冽 詩人茨木のり子の肖像』で桑原武夫学芸賞を受賞。医学、スポーツ、芸術など幅広い分野で人間の実像に迫る筆致に定評がある。近著に『拗ね者たらん 本田靖春 人と作品』がある。

(聞き手は天野豊文、漆間泰志 撮影 大岡敦)

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