――当時と今では、かなり変わってきましたか?

「変わりましたね。今は女性が優秀だと説明する必要もなくなりました。例えば、2012年からスタートしている『スマートキャリア』というサービスがあります。登録前に得ていた年収も比較的高く、スキルもあるけれど、育児や介護など様々な理由で勤務時間に制約のある方を対象としています。スマートキャリアの場合、平均時給2300円、高い人だと時給7500円の人もいます。主婦に特化した派遣を始めた当時と比較すると、家事や育児と両立しながら高い時給で働ける環境が整いつつあるのを感じます」

主婦が比較的高い時給で働ける仕事が増えてきたという

「一方で、特別なスキルがない場合でも働きたいという人向けに、『ご近所ワーク』というサービスも立ち上げました。民泊やカーシェアに代表されるシェアリングエコノミーの広がりとともに、点の仕事が増えています。典型的なのが、民泊の清掃。専業主婦が多かった時代は家事代行や子供の送り迎えは仕事になりませんでしたが、今はそれも仕事として成立しています。コンビニエンスストアも無人化が進んでいますが、無人化しても、商品を棚に並べる作業は残ります。すると、そこにピンポイントの需要が生まれます。自分が住んでいる地域でできる仕事という意味で、ご近所ワークと名付けました」

――人材の高齢化が進み、15歳以上65歳未満の生産年齢人口は今後、ますます減っていきます。

「主婦、シニア、外国人、ロボットを含め、いろんな人たちが労働参加しやすい社会を作っていくことが重要になるでしょう。そういう意味で、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)にも注目しています」

「RPAはパソコン上の作業をロボットが自動でしてくれることを指す言葉です。例えば、社員の給与計算をする場合、あらかじめ必要なコマンドを入力しておけば、ロボットが給与計算ソフトを使いながら、自動で社員番号と照合してくれる。あるいは、交通費そのものを検索してデータ入力してくれる。その人のカレンダーと照合してタイムスケジュールを見に行く、などもしてくれます。RPAに向いているのは、パソコンでできる定型業務です。ロボットは『Aの場合はAダッシュ』と答えが決まっている業務を得意としますから、人間は状況に応じて判断しなければならない業務に特化していくだろうと思います」