ワイン週1本程度の飲酒でもがんリスク上昇 英研究男性ではタバコを週5本、女性では週10本吸った場合に匹敵

日経Gooday

男性では消化器系のがん、女性では乳がんが増加

分析対象とした飲酒・喫煙関連がんは、膀胱がん、大腸がん、乳がん、子宮頸がん、腎がん、喉頭がん、白血病、肝臓がん、肺がん、食道がん、口腔咽頭がん、卵巣がん、膵臓がん、胃がんです。

タバコを吸わない人において、週にワイン1本に相当する飲酒習慣がある場合、生涯にわたる飲酒・喫煙関連がんの絶対リスクは、男性で1.0%、女性では1.4%高くなっていました。これは、タバコを吸わない男性1000人とタバコを吸わない女性1000人がこのレベルの飲酒をしていると、飲酒をしなかった場合に比べ、男性10人と女性14人が過剰にこれらのがんを発症することを意味します。

さらに飲酒量が増えて週にワイン3本分のアルコールになると、生涯にわたる飲酒・喫煙関連がんの絶対リスクは、男性で1.9%、女性では3.6%上昇しました。これは、タバコを吸わない男性1000人とタバコを吸わない女性1000人において、男性19人と女性36人が過剰にこれらのがんを発症することを意味します。

飲酒によるがん発症リスクの上昇は、男性では主に消化器がん(口腔咽頭がん、食道がん、大腸がん、肝臓がん)の発症増加に起因していました。一方、女性では、過剰に発生したがんの半分以上が、乳がんでした。

次に、喫煙が、生涯にわたる飲酒・喫煙関連がんの発症に及ぼす影響を検討しました。飲酒習慣のない人において、週に10本の喫煙は、生涯にわたる飲酒・喫煙関連がんの絶対リスクを、男性で2.1%、女性では1.5%高めていました。週30本の喫煙になると、絶対リスク上昇は、男性で7.4%、女性では4.6%になりました。

週にワイン1本分の飲酒によるがん発症の絶対リスク上昇を、タバコによる絶対リスク上昇に置き換えると、男性では週に5本、女性では週に10本と同等になりました。1週間にワイン3本分の飲酒の影響は、男性では週に8本、女性では週に23本に匹敵しました。

(データ出典:Hydes TJ, et al. BMC Public Health. 2019 Mar 28;19(1):316.)

今回の研究によって、「節度ある飲酒」に該当する、週にワイン1本程度の飲酒習慣であっても、生涯に飲酒・喫煙関連がんを発症するリスクの上昇に関係すること、その程度は週に5~10本の喫煙と同等であることが示されました。特に女性では影響が大きいことも分かりました。飲酒の際は、こうした側面に留意したほうがよいでしょう。

論文は、2019年3月28日付のBMC Public Health誌電子版に掲載されています[注2]

[注2]Hydes TJ, et al. BMC Public Health. 2019 Mar 28;19(1):316.

(図版制作 増田真一)

大西淳子
医学ジャーナリスト。筑波大学(第二学群・生物学類・医生物学専攻)卒、同大学大学院博士課程(生物科学研究科・生物物理化学専攻)修了。理学博士。公益財団法人エイズ予防財団のリサーチ・レジデントを経てフリーライター、現在に至る。研究者や医療従事者向けの専門的な記事から、科学や健康に関する一般向けの読み物まで、幅広く執筆。

[日経Gooday2019年7月3日付記事を再構成]

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