WOMAN SMART

西ゆり子流 できる女の仕事服

ドラマスタイリストの極意 全身のバランスを計算する 第1話

2019/7/30

女優の麻生久美子さんの衣装に手を入れる西ゆり子さん

ファッションの指南役として欠かせないスタイリスト。でも実は活躍する場所によって、仕事の中身が変わる。雑誌なら正面からのカットが多い。テレビドラマは360度、どこからも見られることが前提になる。トレンドも欠かせない。

流行を取り入れ、役の人間性を表現し、どこから、誰が見ても印象的なヒロインに。それができるドラマスタイリストが、西ゆり子さんだ。これまで手掛けた番組は200本以上、今も第一線で活躍する彼女に、私たちもアドバイスをもらおう。ドラマのヒロインのように、仕事服をかっこよく着こなす知恵を。

■衣装で役の人間性を表現

取材時、西さんは2019年10月に放送予定の金曜ナイトドラマ「時効警察はじめました」(テレビ朝日系)の衣装を担当していた。人気刑事ドラマの12年ぶりの放映。主人公の霧山修一朗を演じるオダギリジョーさんに、時効捜査の「助手」三日月しずか役の麻生久美子さん。全出演者のファッションを生み出した。

麻生さんの私服は大人っぽさを演出

普段は制服姿の出演者、私服にはアイデアが詰まっている。麻生さんなら「結婚、離婚を経験している役なので、前回の放送よりも『大人っぽさ』を出したいと思った」。具体的には「米デザイナーのトム・ブラウンが手掛ける服のような、コンサバティブの中にも現代的な要素が入っているスタイリングをしてみた」そうだ。トム・ブラウン氏は米老舗ブランド、ブルックスブラザーズの高級ラインのデザインを担当するなど、アメリカン・トラディショナルを得意とするデザイナーとして知られる。

人気ドラマ「家売るオンナの逆襲」(日本テレビ系、19年1月スタート)では、家を売って売って売りまくる「天才的不動産屋」という設定の北川景子さんをスタイリングした。こちらも第2シリーズだが、手掛けたのは今作から。前作の流れを引き継ぎながら北川さん演じる主人公、三軒家万智の「強さ」をより強調。「タイトスカートさえも優しい印象になるので却下した」と振り返る。

■毎回が「勝負」のスタイリング

どんな役であっても、人柄がにじみ出る。存在感があり、自信やオーラがみなぎるように。ドラマのスタイリングで求められる要素だ。でも、それだけではない。「台本や監督の演出の意図に沿ってコーディネートする必要がある一方で、役者側にも『こういう服が着たい』との思いがある。両者が合わないこともしばしば。大物俳優になればなるほど、その傾向が強くなる」とは、「時効警察はじめました」の大江達樹・テレビ朝日プロデューサー。だから難しい。

ドラマ「突然ですが、明日結婚します」(2017年、フジテレビ系)で、主人公の西内まりやさんが結婚式に出席する時のスタイリング。銀行勤めのため、色は抑え目(西さん提供)

西さんの担当する現場は違う。「今回は西さんがいるから」と、専属のスタイリストをつけない女優も多い。演じ手にも、演出者からも厚い信頼が寄せられる。「作品に向き合い、監督や役者の意向をくみ取ったうえで、時には監督に進言したり、役者さんを説得するなど、必ず着地点を探してくれる。ファッションセンスに加え、オリジナリティー、プレゼンの能力といったプラスアルファがある」。大江プロデューサーはその秘密を分析する。

西さん自身はドラマスタイリストを「台本を読み解き、ファッションで役の人間性を表現するプロフェッショナル」と表現する。いざスタイリングに臨む際には「毎回毎回が勝負」と心に刻む。「本人のものになっていない」「服に着られている」と感じれば、用意しておいた衣装でも似合わないと伝え、脱いでもらっている。

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