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スマホ契約の違約金1000円に下げ 本当にメリット? 佐野正弘のモバイル最前線

2019/7/16

■制度案がもたらすメリットとデメリット

では、この制度案がそのまま通った場合に生まれる、メリットとデメリットを確認していこう。まずは2年縛りの違約金上限が1000円という規制についてだが、そのまま適用されれば違約金の大幅値下げで「縛り」が実質的に意味をなさなくなるため、違約金を理由に乗り換えをためらっていた人が、他社に乗り換えやすくなる。

一方で、現在の料金プランは2年縛りの違約金が9500円であることを前提に設計されているため、その前提が崩れてしまえば、携帯電話会社は料金設計を根本から値上げの方向に見直す必要が出てくる。特に新料金プランを提供したばかりのNTTドコモやKDDIは、短期間で見直しの必要が出てくるため混乱は避けられないだろう。もちろん競争激化を見越して規制後も現行のプランを維持することもあり得るが、それはそのまま携帯電話会社の「損」となるため、今後のネットワーク整備や携帯電話ショップ網の維持などにマイナスの影響を与えかねない。

NTTドコモやKDDIは、2019年6月より新料金プランの提供を開始しているが、いずれも2年契約を前提とした仕組みであるため、違約金が大幅に引き下げられることで早々に見直しを迫られる可能性がある

2つ目の、端末代の値引き上限が2万円に規制されることの影響はどうか。先にも触れた通り、これは端末購入プログラムに対する規制といえ、今回の制度案がそのまま通過すれば、携帯電話各社はプログラムの廃止、あるいは規模縮小を余儀なくされるだろう。その結果としてユーザーの契約を縛る要素が1つ減ることから、その分解約や他社への乗り換えがしやすくなることがユーザーメリットとして挙げられる。

一方、こうしたプログラムが生まれたのは、分離プランの導入で、最近では10万円を超えるスマートフォンのハイエンドモデルの値引きが難しくなったことから、それを安価に購入しやすくする目的があった。ゆえに制度案が通れば、そうした高額な端末を安価に購入する手段が失われるというのが、消費者にとって最大のデメリットとなる。

高額な最新端末の値引きがなくなるときに懸念されるのが2020年の商用サービス開始を予定している次世代通信規格「5G」への影響だ。当初提供される5G対応端末は、技術的な理由もあってハイエンドモデルが大半を占めるはず。規制によってその値引きが難しいとなれば、5G対応端末の販売が伸びず普及が大きく遅れる可能性があるからだ。

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