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生き方

我が子の就活、オヤカクしますか 望む仕事と親の思い 今どき親子の就活事情(1)

2019/7/10

会社員の立場でもある父の見方は少し違った。和田さんのSNS(交流サイト)の投稿をわざわざ見てくれた。そして、「楽しそうに働いているな」と声をかけてくれた。「残りの学生生活では、別の会社で違う仕事も体験して、来春からはPOTLUCKで働きたいです」。

子どものチャレンジ精神を、成長と喜ぶべきなのか。できるだけ危なくない道を示して安定した人生を用意してあげるべきなのか。筆者も2人の子の親であるがゆえ、割り切れない気持ちになっている自分を発見して驚いた。しかし、ある社会人1年生の言葉に、答えの片りんが見えた気がした。

■自分が心から喜べることは何だろう?

「親は明日死んじゃうかもしれない。それなのに、いつまでも親の決めたとおりに生きていて、後悔しない?」。高柳美奈子さん(23)は、親の意見に惑わされている友人にいつもこう問いかけている。親が死ぬ? ドキッとさせられる言葉だ。実は高柳さんは小4のとき、父を亡くしている。「人は本当に明日死ぬかもしれない。だったら、自分の責任で決めて生きていかなきゃ」

会社の先輩と笑顔を見せる高柳さん

愛知県豊田市出身の高柳さんは、国際基督教大を卒業し今春から飲食店や美容などローカルビジネスに特化したマーケティングのベンチャー、CS-C(東京・港)に入社した。今は飲食店などの顧客に最適なマーケティング戦略を提案する仕事をしている。

学生時代に体験したインターンや学生団体での活動を通じて「少人数で何かをなし遂げる喜びが大きい」自分に気づいていた。大学4年になり、ベンチャーの採用試験をいくつか受けた。しかし、母には伝えていなかった。「地元で学校に行き結婚するのが幸せ」と言い続けていた母が、東京で、しかもベンチャーに就職するなんて、反対するのはわかっていたからだ。

同社の内定が出た後、数カ月ぶりに実家に電話した。「最後まで口を挟まないで聞いてね」と前置きし、この会社で働きたい理由から、ベンチャーだから危ないわけではないことまで、1時間近く「プレゼンテーションした」。

話し終わったとき、母はたった一言、「美奈ちゃんだもんね」と言ったという。「親の決めた道とは違う道を突き進んだあなたを、お母さんが受け入れた瞬間だったのね」と筆者が問うと、「そうかもしれない。今でもお見合い話を持ってきたりしますけど」と大きな声で笑った。

親子関係は多様で簡単に決めつけることはできない。大企業に行くのもベンチャー企業に行くのもそれぞれの判断だ。それでも、学生は社会に出る前に、自分が心から喜べることは何なのかを知ってほしいとアラフィフ記者は願うばかりだ。

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(藤原仁美)

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