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サルに3000年の「石器時代」発見 使う石にも変化

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ナショナルジオグラフィック日本版

ブラジル、セラ・ダ・カピバラ国立公園にすむヒゲオマキザル(Sapajus libidinosus)は、3000年前から石を使って木の実を割っていたという研究結果が、6月24日付けの学術誌「Nature Ecology & Evolution」に発表された。アフリカ以外では、動物が石器を使った最古の証拠だ。

ヒゲオマキザルが硬い木の実や種子を割るために使用した丸い小石は、国立公園のさまざまな年代の地層に含まれていた。私たち人間以外の動物が道具を使用していた証拠は、過去にもいくつか見つかっている。最も古いのは、コートジボワールで見つかった4000年以上前のチンパンジーのものだ。

しかし、セラ・ダ・カピバラの石器については、人類以外で初めて、長期にわたる道具の変遷が認められた。これがほかと明らかに異なる点だ。硬さの違う食べ物に合わせて、使う石の大きさを変えていったのではないかとみられている。

「このような場所で発掘を行っていると、詳細な考古学的記録があるのは人間だけではないということがわかってとても興味深いです」。英ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジ(UCL)の博士研究員で論文共著者のトモス・プロフィット氏はそう語る。

「この発掘現場は、ブラジルのヒゲオマキザルにも彼ら独自の考古学的記録があり、道具を使っていた証拠である遺物が存在することを示しています」

オマキザルの道具使用を研究すれば、最初期の人類も含め、ほかの霊長類の道具使用の起源の解明につながるかもしれない。これまでに知られている最古の石器はアフリカで見つかった330万年前のもので、作為的に削られた跡がある石の刃だ。猿人であるアウストラロピテクス・アファレンシスかケニアントロプス・プラティオプスによるものとみられている。

しかし、石を削って石器を作るようになる以前から、初期人類は手を加えていない丸い石を使って食べ物を処理してきたと考えられている。現代のセラ・ダ・カピバラにすむヒゲオマキザルも同様に、石をそのまま道具として使っている。そのオマキザルの行動を研究すれば、ほかの場所を発掘する際にも、何を探すべきか参考にできるだろう。

「動物の行動がいかに複雑であるかを示す新たな証拠が明かされるたびに、興奮を覚えます」と語るのは、米チャタム大学の進化人類学者で、初期の石器使用に関する生体力学を研究するエリン・マリー・ウィリアムス・ハタラ氏だ。「私たちは、道具の使用が人間とほかの霊長類を分かつという誤った考えにとらわれて、何十年も回り道してきたと思います」

考古学的手法を駆使して発掘

長い間、道具を使うのは人間だけと考えられてきたが、それが誤解であったことは、数十年に及ぶ数々の研究で明らかになっている。棒や木の枝を使う鳥や、狩りのために槍を手作りするチンパンジー。オランウータンは、喉の渇きをいやすために驚きの方法を編み出した。直接口をつけて飲むのが難しいところにある水を得るため、植物をかんで柔らかくし、スポンジのようにして水を吸収させ、口元へ持ってきて水を絞り出す。

セラ・ダ・カピバラにすむ現代のヒゲオマキザルも、丸い石を使ってカシューナッツの硬い殻を割る。石の大きさは、数センチから人間のこぶし大までさまざまだ。木の根や大きめの石の上にカシューナッツを置き、手にした小石を打ち付ける。すると、木の根元や石にカシューナッツの殻の茶色い染みがつく。

ブラジルの現地に住む人や旅行者は、数百年前から、道具を使うオマキザルがいるという話を語り継いできた。飼育されたオマキザルや研究室の実験でも、数十年前から同様の行動が観察されている。野生で初めてこれが記録されたのは、2004年のことだ。

「地元の人々はもうずっと前から知っていました」。ブラジル、サンパウロ大学の霊長類学者で、論文の筆頭著者であるティアゴ・ファロティコ氏は言う。

そこでヒゲオマキザルの道具の使用をどのくらい前まで遡れるかを調べるため、研究チームは考古学的手法を使って、10年ほど前にセラ・ダ・カピバラの発掘を開始した。2016年、オマキザルのものに違いないとされる700年前の証拠が見つかった。だが、それが最古とは限らない。そこでチームは、さらに発掘を続けた。

560年前に節目、300年前に今のように

4回にわたる発掘を終え、炭素年代測定で分析した結果、約3000年前の地層まで掘り下げたことがわかった。しかも面白いことに、さまざまな地層で見つかる石に変化が見られることに気付いた。3000年前から560年前ごろまでは比較的小さな石ばかりで、どれも強い衝撃が加えられていた。今と異なり、何度も的を外していたようだ。その頃、ヒゲオマキザルは小さな食べ物ばかり食べていたと研究チームは考えている。

それ以降は、より大きな石を使うようになっていった。以前よりも硬い食べ物を求めるようになったのだろうか。そして300年ほど前に、今のようなカシューナッツの硬い殻を割るのにちょうどいい大きさの石に落ち着いた。

なぜ、この地域に住むヒゲオマキザルの食べ物は変化したのだろうか。プロフィット氏とファロティコ氏は、はっきりしたことは言えないとしている。好みが異なる別の群れがすんでいたのか。または、この辺りに生える植物が変わったということも考えられる。

ウィリアムス・ハタラ氏も、古代のオマキザルが何を食べていたかはまだわからないと指摘する。昔の石には、カシューナッツの残留物が付着していないが、その頃はカシューナッツを食べていなかったのか、あるいは単に残留物が時とともに分解して消失したのかもしれない。また、ヒゲオマキザルが石を打ち付けるという行動自体は昔からほとんど変わっておらず、発掘現場が示した変化をあまり深く考えすぎてはならないとも付け加えた。なお、ウィリアムス・ハタラ氏は今回の研究には関わっていない。

「石を打つ対象物が変化したとしても、道具の機能や動物の行動も変化したということかと問われれば、答えはノーでしょう」

独自の進化を遂げた?

プロフィット氏とファロティコ氏は、今後もこの研究を続ける予定だ。例えば、人間以外の動物が使う道具までもが幅広く見分けられるようになれば、さまざまな場所で発見された石器の使用者をより特定しやすくなるだろうし、霊長類が道具を使うようになった進化的土台を理解できるかもしれない。

オマキザルにしても、全ての集団が道具を使うわけではない。なぜ、セラ・ダ・カピバラのヒゲオマキザルだけ例外なのだろうか。ほかに、パナマでもオマキザルが道具を使用しているという報告がある。

「オマキザルの祖先は3800万年前に人類の祖先と枝分かれしましたが、これらの集団にはどんな特別な進化の歴史、生態系、社会システムがあって、道具を使えるようになったのでしょうか」と、ドイツにあるマックス・プランク進化人類学研究所の博士研究員ブレンダン・バレット氏は問う。「恐らく、彼らは独自の進化を遂げたのでしょう」

霊長類の道具の使い方は実にさまざまで、オマキザルが人類の祖先と同じように進歩するかどうかは不明であると、研究者らは強調する。例えば、カシューナッツを割る衝撃で石が割れてしまうことがある。しかし、野生のオマキザルがその割れた石をナイフのように使っている姿は観察されたことがない。この点は、人類の進化において重要なステップだった。

プロフィット氏は言う。「個体が石を道具として使う期間を『石器時代』と定義するなら、オマキザルにも独自の石器時代があると言えるでしょう。その点に問題はありません。けれども、その石器時代がもっと複雑な何かに発展するかどうかということに関しては、まったくわかりません」

(文 Michael Greshko、訳 ルーバー荒井ハンナ、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2019年6月26日付]

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