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ホットドッグの謎 カレー味キャベツ添えは関西発?

ドッグ&ビールは最高の組み合わせ!

主人公はアルコール中毒のバーテンダー・島村。過去に学生運動に興じ、ふとした事故で爆弾を爆発させ、指名手配の身になっていた。そのため名前を変え、過去を隠してひっそりと生活していた。

ある日、新宿中央公園で昼前からウイスキーを飲んでいると、そこで爆弾テロ事件が起き、多数の死傷者が出る。島村は現場から逃げ出したが、ウイスキーのボトルを置き忘れてしまう。残されたボトルの指紋から島村に容疑がかかり、みずから真相解明に乗り出す……という推理小説だ。

島村が雇われているバーには酒類と、つまみはホットドッグしかない。しかも、これがちょっと変わっていて、パンにはさむ具がソーセージとカレー粉で味付けしたキャベツいためなのである。

作品には調理シーンも描かれていて、その通りに作ってみると、これがウマい! カレーのスパイシーな味がソーセージとマッチして、冷たいビールにとても合う。

私はこれを「テロリストのパラソル流」、略して「テロパラ流ホットドッグ」とか「ハードボイルド流ホットドッグ」などと勝手に名づけていた。私だけでなく、これを再現して食べていたハードボイルドファンはけっこういたようである。

それから何年もたち、最近になって関西ではホットドッグといえばカレー味のキャベツいためが入っていることを知った。昔から喫茶店や移動販売車ではこのスタイルで提供されており、そのため家庭で作る場合もカレーキャベツ入りが当たり前なのだそうである。

「ホットドッグだけでなく、我が家ではソーセージを食べるときにもカレー味のキャベツいためを添える」「お弁当にもよくソーセージとカレーキャベツが入っていた。この組み合わせは大阪のおかん(母)の味!」と語る大阪出身の友人もいた。

ソーセージとカレー味のキャベツいためは大阪では定番の組み合わせ!?

なんと! 私がかっこいい「ハードボイルド流」と思っていたものが「コテコテの関西流」「大阪のおかんの味」だったとは! 関東圏で生まれ育った私は心底驚いた。

気になって作者の藤原伊織さんのプロフィルを見てみると、やはり! 「1948年、大阪府生まれ」とあった。あのホットドッグは藤原さんにとって地元で慣れ親しんだ味だったのだ。

では、なぜ関西ではホットドッグにカレー味のキャベツいためが入っているのだろうか。実はホットドッグが日本ではやり始めた1960年代ごろは全国的にカレー味のキャベツいためが具として入っていたようである。

ドイツ式のホットドッグにはキャベツの発酵食「ザワークラウト」がはさんであることが多い。が、当時はこれが入手困難で、作るにしても手間と時間がかかる。そんな理由からお手軽にソーセージに合うスパイシーな味つけにするのにカレー粉が使われたようだ。また、ドイツ・ベルリンの名物料理に「カリーヴルスト」というのがあり、これはフランクフルトにカレー粉とケチャップをかけたもの。カレーとソーセージは好相性なので、ここからヒントを得たのかもしれない。

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