ハンターの雨靴 ゲリラ豪雨もおしゃれに迎え撃ち
スタイリストは衣装や小物など数ある中から、その場にふさわしいアイテムを選択し、コーディネートを考えるのが仕事だ。そんな「目利き」がその時期に欠かせないファッションアイテムに焦点をあて、魅力を紹介する新連載「目利きが選ぶ旬アイテム」。スタイリスト、小林新氏が初回に取り上げたのはハンターの雨靴だ。
■一見ローファーやサイドゴアブーツ
梅雨の季節が終わり、夏本番を迎えても、突然の夕立や雷雨に襲われることがある。近年は「ゲリラ豪雨」と称される土砂降りも珍しくない。雨の日に何を履くかは悩ましい問題だが、ハンターの雨靴は、まさにその切り札といっていい。
一見、ローファーやサイドゴアタイプのブーツだが、革ではなく天然のラバー(ゴム)でできている。たとえゲリラ豪雨に見舞われても安心だ。れっきとしたレインブーツなのに、光沢仕上げなどファッション性が高いのがハンターならではである。
創業1856年という英国の老舗。英国王室御用達としても知られる雨の日アイテムのブランドだ。何しろ年中、傘が手放せないというお国柄の英国で、今日まで長い歴史を育んできた。
僕がハンターを知ったのは今から10年ほど前にさかのぼる。英国の人気ファッションモデル、ケイト・モスがデニムのショートパンツにハンターの黒のレインブーツ姿で、泥まみれの中を歩くシーンを目にし、そんな合わせ方もあるのかと思ったのを覚えている。
■職場の置き靴にする手も
レインブーツらしくないかっこよさにも引かれ、まさに青天のへきれきだった。ハンターの知名度はそれ以降、ぐんぐんと上がり、雨の日に「HUNTER」のロゴのレインブーツ姿の女性を街中でよく見かける。何を隠そう僕も、雨が予想される日に外で撮影がある時などはカーキ色のレインブーツを愛用している。
泥などで汚れても、さっと水洗いしたり、布でふき取ったりすればすぐに落ちる。ゴアテックス製の靴もあるが、ゲリラ豪雨などでの安心感は、やはりゴム製靴にはかなわない。お値段もお手ごろなので、職場の置き靴にする手もある。
スーツなどオンの装いや喪服とも親和性が高いのがハンターの最大の魅力。雨の日でも自分のファッションスタイルを変えたくないという方には是非、おすすめしたい名品の一つである。
※商品の価格は税込み
大学卒業後、2006年に独立。雑誌や音楽、広告分野などを中心に活動。服にとどまらず、その周辺にある美術などもスタイリングの一環と考え、独自の視点を持つスタイリストとして定評がある。
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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