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データをもとに検証していく作業は、まさに探偵のように楽しむことができる

データをもとに検証していく作業は、まさに探偵のように楽しむことができる

統計データは、世の中の動きを計る客観的な基準として様々な分野で活用されている。しかし、統計の示す事実が人々の社会に対する印象と食い違ってしまうということも時々起ってしまう。「犯罪件数が大幅減少しているのに、住民には治安が良くなったと感じられない」とか「統計上は長時間労働が減っているのに、過労死の増加が社会問題化している」などがその例だ。本書『なぜ、男子は突然、草食化したのか』(日本経済新聞出版社)では、常識とされている様々な社会的変化を取り上げて「本当はどうなっているのか」の検証を試みている。「統計探偵」が謎解きに挑むというスタイルで記されており、複眼的に世の中を見るために必要な技術を楽しく学べる一冊となっている。

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本川裕氏

本川裕氏

著者の本川裕氏は、統計データ分析家です。1951年に生まれ、東京大学農学部農業経済学科を卒業します。国民経済研究協会常務理事研究部長などを経て、アルファ社会科学(東京・中央)主席研究員として活動しています。主な著作に『統計データが語る日本人の大きな誤解』(日経プレミア)などがあります。

データが映す本当の姿

「長時間労働は減っているのに、なぜ過労死が注目されるのか」「男が太り、女が痩せるのは日本だけ?」「85歳でも1割の人が働いているのはなぜ?」……。本書では、統計データの不思議を謎解きに見立て、探偵推理小説の創始者でもあるエドガー・アラン・ポーを登場させながら解き明かしていきます。

著者は、「統計データは正直である」と主張します。正しく読み込むことで、思い込みや先入観にとらわれがちな人間の認識を洗い直すことができるからです。

例えば、本書のタイトルにもなっている男子の草食化について、著者は以下のように述べています。

若者が恋愛に対して淡泊になったという、いわゆる「草食化」についても、ほとんどの人がそうだと感じているのに、いつごろからそれが始まり、何が原因なのかがわからない、だから、いまだにその傾向が進んでいるのかどうかも、統計データでつかめない、というようなナゾもある。
(はじめに 4ページ)

草食化の原因は「食べ物」だった?

「草食男子」という言葉は2009年10月にコラムニストの深沢真紀氏によってはじめて使われました。日本生産性本部が企業の新入社員に対して行っている調査の質問の中に、「職場以外では、どんなときに一番生きがいを感じますか」という項目があります。この選択肢の中に「親しい異性といるとき」という項目があるのですが、これに対する男性の返答が他の質問の合計と比べて2000年ごろを境に急に低下傾向が顕著になっています。

この調査は男性だけではなく女性にも行われているのですが、同じく2000年ごろには異性への関心度における男女差が消滅しています。それどころか、年次によっては女子のほうが高い数値を記録したのです。これが、「肉食女子」の登場だと著者は分析します。

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