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施工不良で立ち退き?どう対処 レオパレス問題で注目 弁護士 志賀剛一さん

2019/7/4

公式サイトの説明を読む限り、「賃貸契約」は普通借家契約、「マンスリー契約」は定期借家契約と解され、借り主がどちらの契約を締結したのかによって、貸主から「出て行ってくれ」と言われた場合の反論の仕方がやや異なってきます。

■定期借家 中途解約は原則、認められず

レオパレスと借り主との契約がマンスリー契約であった場合、法的には定期借家契約となります。この契約では、あらかじめ合意した期間に契約が終了するのが原則です。このため、定められた期間の前に貸主が契約を中途解約をすることは原則的に認められていません(借り主による中途解約の場合にも、違約金などが発生する場合がほとんどです)。

したがって、レオパレスから退去を求められたとしても、定められた期間前であれば出ていく必要はありませんが、逆に契約期間が満了するのであれば、そこで立ち退かなければなりません。

相談のケースでは契約期限が3月末であったとのことですが、これが定期借家契約であれば、施工不良にかかわりなく、そこで終了であり、更新がなされることはありません。しかし、3月末を過ぎてもあなたが居住を継続できているということは、あなたは普通借家契約による借り主であると思われます。

■更新拒絶の通知は1年前から6カ月前

さて、レオパレスと借り主との契約が普通借家契約であった場合も、契約期間前に貸主が中途で解約する権利は法律上ありません。また、期間が満了する場合でも法律上は自動更新が原則です。貸主が更新を拒絶することは借地借家法28条で「正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない」と規定されているのです。

さらに、同法26条によれば、更新拒絶の通知は期間満了の1年前から6カ月前までにしなければならないことになっています。2月になって「施工不良が発見されたので3月末に出て行ってください」という請求は、同法の要件を充足していないのです。

法律上、そのような場合、期限が来ても従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされることになり、その期間は定めがないものになります。期間の定めがない普通借家契約は中途解約が可能であり、契約は解約の申し入れの日から6カ月経過で終了することになっていますが、その場合も正当事由が必要なことは言うまでもありません。

■金銭的補償を得たうえで早期に立ち退く

借地借家法が貸主に要求する正当事由は、貸主・借り主が建物の使用を必要とする事情、賃貸借に関する従前の経緯、建物の利用状況、立ち退き料の提供などを考慮して判断されます。なお、立ち退き料はそれのみでは正当事由にならず、他の事由を補完する要素の一つであると解されています。

老朽化を原因とする耐火性能の不足を正当事由の一要素と判断した判例はあるものの、本件のように、自らの施工不良を原因とする耐火性能の不足が正当事由であるというのは違和感を覚えますが、耐火性能が基準を満たしていない物件に居住し続けるべきかどうかは別の問題です。

ある程度の金銭的な補償を得たうえで、危険な部屋からは早期に立ち退くのが得策ではないかというのが私の意見です。

■移転のための実費を「立ち退き料」と提示

ところで、レオパレスの公式サイトには、施工不良の程度に応じて異なる対応策が記載されています。天井の施行不備について、耐火性能が建築基準法で定められている基準を満たしていない場合には借り主に住み替えをお願いするとし、補償の具体的内容として

(1)当社レオパレスへの住み替えは敷金、礼金、住み替え手数料、鍵の交換費、当月の日割家賃、翌月の家賃
(2)他社の管理物件への住み替えは、住み替え先の契約金(敷金、礼金、仲介手数料、当月の日割家賃、翌月の家賃、保証会社の保証契約料など)
(3)引っ越しはレオパレスが提携する引っ越し会社が対応。費用はレオパレス負担だが、借り主が引っ越し会社の手配を希望の際は、物件紹介担当者に相談

といった条件が提示されています。

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