道選ばぬネオクラシック ドゥカティ・スクランブラー

2019/7/28
ドゥカティ・スクランブラー デザートスレッドに試乗した(写真:向後一宏、以下同)
ドゥカティ・スクランブラー デザートスレッドに試乗した(写真:向後一宏、以下同)
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単なる“おしゃれなネオクラシック”と思ったら大間違い。「ドゥカティ・スクランブラー デザートスレッド」は、ストリートでも林道でも存分に走りが楽しめる、極めてハイレベルな“万能選手”に仕上がっていた。

ここもあそこも専用仕立て

ドゥカティのスクランブラーシリーズには、現在11機種のモデルがラインナップされている。中核をなす800ccに7機種、電子デバイスを充実させた1100ccに3機種、普通自動二輪免許(いわゆる中免)で乗れる400ccに1機種というのがその内訳で、今回はその中から800ccのデザートスレッドに試乗した。

スクランブラーとは、オンロードもオフロードもこなせる一種のデュアルパーパスモデルだが、日本の道路環境では大半のライダーがオンロードで使用していることだろう。出掛けた先でたまたまダートに遭遇すれば普通のロードバイクよりは安心感があるものの、オフロードを走る割合は多くても1割といったところ。ダートには一度も踏み入れたことがない、というライダーも多いはずだ。

「ドゥカティ・スクランブラー」シリーズの中で、オフロード走行も強く意識して開発された「スクランブラー デザートスレッド」。2016年11月の「ドゥカティ・ワールド・プレミア2017」でデビューした

そんな中、オフロード成分が格段に増量されたモデルがデザートスレッドである。その名称は、カリフォルニアの砂漠を駆け回るためにカスタムされたバイクに由来し、1960年代に流行。直訳すると「砂漠のソリ」といったところだ。60年代当時、それはスクランブラーから発展したカテゴリーだったが、ドゥカティはそれに倣い、現代のスクランブラーの派生モデルとして、このデザートスレッドを作ったのである。

スタンダードモデルに相当する「スクランブラー アイコン」と比較して、目に見えて異なる部分は、長くなった足だ。アイコンのホイールトラベル量は前後とも150mmなのに対し、デザートスレッドでは200mmに延長。それに伴い、KYB製の倒立フロントフォークは直径41mmから46mmへとかなり大径化されている。

またホイールサイズも変更され、デザートスレッドはフロントに、アイコンから1インチアップの19インチホイールを採用。リアは同径の17インチながらナローになり、ブロックタイヤに適したリム幅になっている。ストロークが延びたサスペンションと大径化されたホイールサイズは、高い走破性をもたらす一方、その代償として足つき性は悪化。これはまぁ、致し方ないところである。

よく考えられた乗り味

ただし、ここまでならちょっとしたショップカスタムの範疇(はんちゅう)だが、ドゥカティはそんな「なんちゃってオフローダー」のまま送り出すことをよしとしなかった。本気で飛んだり跳ねたりすることを想定し、フレームを大幅に強化しているからだ。

一見すると他のモデルと同じに見えるが、その鋼管トレリスフレームは肉厚のあるタイプに置き換えられ、ストレスが掛かる部分にはパイプを増設、あるいは補強材を追加し、全面的に手を加えているのだ。アイコン比で車重が20kg増しているのは、この足まわりとフレームに大部分が起因する。