仕事しつつ起業は大変 資産づくりのプロも苦戦

日経マネー

(イラスト:平田利之)

ちょっとお恥ずかしい話ですが、合同会社にした理由は合同会社の英語略称「LLC」という表現に引かれたからなのです。会社の形態も大切ですが、「FinWell Research LLC」と社名を英訳した時の見栄えが気に入ってしまいました。なので、日本語では「合同会社」なのです。といいながら、実はLLCって、使っているうちにLCC、LLP、何だか分からなくなった時もありましたが(笑)。

ところで最近のノウハウ本はすごいです。本の中にURLとパスワードが記載されていて、定款やその他に会社を立ち上げるのに必要な書類をダウンロードできるようになっていました。「これは簡単!」と、さっそく自分でほとんど書類を作ることができました。

しかし、実際にはそんなに甘くはありませんでしたね。法務局に申請しようとすると、急に不安になります。「自分で作ったものが本当にそれでいいのか」という不安です。結局、誰かのアドバイスがなければ手間がかかることが分かり、司法書士にアドバイスと実際の申請を頼むことにしました。やっぱり一人で何かをやろうとすればするほど、専門家の力を借りるというのは必要です。

起業を助けたパーティー

4月6日は忘れられない日になりました。自分の誕生日の翌日に、東京・乃木坂のレストランを借りて仲間の皆さんに来ていただき退職記念パーティーを開いたのです。

野尻さんの退職記念パーティーに参加した人の中には、「複業」を始めるに当たっての支援をしてくれた人もいた

これまでも折に触れて家族主催のパーティーを行ってきました。全て私一人で企画を立てて、案内を送り、参加者を募るのが特徴です。今回も、当日の受け付けや写真を撮るのは女房や子供たちで、他に手伝っていただくのはお店の方たちだけです。最初に私が司会をちょっとやりましたが、後は3時間ほど参加者が自走式でパーティーが進んでいきました。

これまでと違ったのは、参加者数が120人を超えたことでしょうか。本当にたくさんの人たちが会費制にもかかわらず集まってくださいました。

そこに集まってくださった方や、残念ながら所用があって参加できなかった人たちも含めて、多くの仲間が私の起業を助けてくださいました。司法書士を紹介していただいた会計士のHさん、会計と税のサポートをしてくださる税理士のMさん、システム関係のアドバイスをしてくださるHさん、ロゴの作成にアドバイスを頂いたTさんと我が息子。こうしたネットワークで快く手伝ってくれました。もちろん、お金をお支払いすることもありましたし、本当に無料でMessengerを使って簡単にアドバイスしてくださる場合もありました。

定年を機に起業をする時に本当に必要なのは、自分の知識というよりも、知識を持ったたくさんの人たちのつながりだと改めて思いました。

野尻哲史
フィデリティ退職・投資教育研究所所長、フィンウェル研究所所長。一橋大学卒業後、内外の証券会社調査部を経て2006年にフィデリティ投信に入社。07年からフィデリティ退職・投資教育研究所所長。19年にフィンウェル研究所を立ち上げ「複業」をスタート。アンケート調査を基にしたお金に関する著書・講演多数

[日経マネー2019年8月号の記事を再構成]

日経マネー 2019年 8 月号

著者 : 日経マネー編集部
出版 : 日経BP
価格 : 780円 (税込み)


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