0÷0、スマホが導く怖い解 夏の夜の数学ミステリー立川談笑

「素数」ってのがあります。自分自身と1でしか割り切れない数。……で、いいのかなあ。もう、すべて不安になってきました。ネットで調べると「1より大きい自然数で、正の約数が1と自分自身のみであるもののこと」。ごめんなさい。またウィキ参照です。

ええと、その素数。2、3、5、7、11、13、17……とかの、アレね。このうちの7、11、13を使って、ある6桁の数字を割ることで面白い現象が楽しめるのだと知りました。その数字とは、3桁の数字を繰り返した6桁の数字。つまり、適当な123とか643とかの3桁をリピートした6桁を素数3兄弟で割っていくのです。どうなるかというと、

123123÷7÷11÷13=123

643643÷7÷11÷13=643

998998÷7÷11÷13=998

ほら。ぜんぶリピートする前の3桁に戻っちゃった。え?「だからどうした」ですって? いやいや。面白いじゃないですか! すごいすごい!

コードネーム142857の「ゴルゴ」

次の話題は「142857」という数。私の目には単なる数字の羅列ですが、詳しい人には「ああ、例のあれか」ってなレベルの定番ネタのようです。「巡回数」または「ダイヤル数」と呼ばれる数字。これが、かなり気持ち悪い。いや、興味深い。まずはこんなふうになる数です。掛け算後の数字たちをよく見比べてください。規則性を見つけられますか?

142857×1=142857

142857×2=285714

142857×3=428571

142857×4=571428

142857×5=714285

142857×6=857142

さあ、お分かりだろうか。……て、おかしな心霊写真の紹介みたいになってきた。わはは。よく見るとですね。2、3、4……と掛けていくごとに、答えの方は、「並び順を崩さないまま(!)」に、始まりの数字だけが入れ替わっていくんです。これは不思議。美しい規則性ですよ。どこのどんな人が考えつくんでしょうね。

おっと、これには続きがあります。ここまでで掛けた数は「×1」から「×6」まで。計算後の数字も一巡してバリエーションを使い切ってしまいました。では、この先の「×7」からは美しい規則性を失ってぐちゃぐちゃになっちゃうのか、と思いきや……。142857×7を計算してみましょう。いざ!

142857×7=999999

うわ来たッ! 悪魔召喚かよ! おっかないなあ、もう。これはそもそも、「1÷7=0.142857142857…」と循環小数になることと関係があるんだそうですよ、説明によれば。いやあ、私にはね、何が何やら……。

ふふふ。「1÷7」こと別名「7分の1」の兄さん、あんたすげえわ。「ゴルゴ7分の1」と呼ばせてもらうぜ。コード番号142857、おそるべし。

と終わりそうで、まだまだ終わらない。今度はこの142857を、前後3桁ずつの数字に分けて、足し算してみましょう、ですって。「何がしたいんだよ!」とも思うけど、きっと驚きの結末が待ってるんでしょう。いわれた通りにやってみますよ。

まずは、142と857と。こちらでも並び順を崩さずに数字を順繰りさせることで、6回のバリエーションを楽しめることになってます。まずは、

142+857

そして、並び順をそのままで先頭数字を変えてみます。

428+571

285+714

857+142

571+428

714+285

バリエーションはこれですべて。で、計算すると、なんと答えがすべて共通。999! キャアァーーーっ!!! っと驚きー、……なのですが。正直に言うと、そろそろどこがどうすごいのか分からなくなってるかも。

ダメ押し的に、続きがもうひとつあります。142857を、今度は2桁ごとに3つに分けて、足し算するんですと。すでにオチが見えてる気もしますが、付き合いますよ。

14+28+57=99

やっぱりなあ。そんなもんだよな。わはは。あーあ、長かったネタもここまでのようです。あれ?いやちょっと待った! ここまで引っ張ったんだから、こっちでも順繰りさせてみましょうよ。できるんでしょ? 2桁だから、もう1通りできますよ。うん、そうだ。では、試してみますね。

42+85+71

うわはは。見た目だけで99を突破しまくりです。さすがに99ネタは不成立ですな。さすがの「ゴルゴ7分の1」も力尽きましたか。ざーんねーん! お疲れさまでした。いちおう計算しますね。

42+85+71=198

ふうん。……ん? 99の2倍だ。ぎゃあああああ!!!

立川談笑
1965年、東京都江東区で生まれる。高校時代は柔道で体を鍛え、早大法学部時代は六法全書で知識を蓄える。93年に立川談志に入門。立川談生を名乗る。96年に二ツ目昇進、2003年に談笑に改名、05年に真打ち昇進。近年は談志門下の四天王の一人に数えられる。古典落語をもとにブラックジョークを交えた改作に定評があり、十八番は「居酒屋」を改作した「イラサリマケー」など。

これまでの記事は、立川談笑、らくご「虎の穴」からご覧ください。

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