育休中、家事・子育てを話し合おう 復職後のヒントに

育児や家事、地域での活動などで得られた経験は「仕事にもプラスになるはず」としゅふJOB総研(東京・新宿)の川上敬太郎所長は話す。「育休期間だからこそ得られる経験があると前向きに受け止めてほしい」と提案する。しゅふJOB総研は子育てや炊事、洗濯、掃除、家計管理、自治会活動などをこなす能力を「家オペ力」と名付けて自己分析に役立てるツールを18年に開発した。育児や家事、ボランティアなどの場面で磨かれるスキルを「コミュニケーション力」「リーダーシップ」など9つの能力に分類する。

「産後の子育てで忍耐力がついた」など客観的にとらえるのに使う。夫と役割分担について話し合うことは交渉力の、近所付き合いは幅広い年代の人とのコミュニケーション力の向上につながる。川上所長は「家事や子育てなどを通して何を学ぶか、それを復職後にどう生かすかをイメージするといい」と助言する。

出産や育休で仕事を離れた期間をマイナスととらえずに、産後間もない女性を採用する機運も高まってきた。女性向け事業を手掛けるビーボ(東京・港)は3月、産後の女性に特化した転職サービス「QOOLキャリア」を始めた。「求職する女性は『仕事を休んでいた期間があるから』と不安になりがち。一方で企業側は経歴と実績を重視しており、必ずしもネガティブには見ていない」と事業を統括する酒井陽大さんは話す。

サービスは産後2年以内の女性が対象だ。「リモートワークなどにも柔軟に対応する企業が増えている」(酒井さん)。育休中に子どもの預け先が見つからず、勤め先から正社員から非正規社員への切り替えを伝えられて困っている登録者もいるという。

サービス開始のきっかけは、2年前に同社で産後8カ月の女性を採用したことだ。経理の田中香保里さん(35)は結婚を機に前職のIT企業を退職し、妊娠と同時に転職活動を始めた。ビーボで専門性を買われてすぐに採用が決まり、入社後しばらくは時短勤務をして経理部門の基盤をつくった。

会社勤めからしばらく離れていたが、「家族も仕事も同じチームワークだと気付いた」と話す。イヤイヤ期の2歳の子育ても仕事に生きる。「動きたがらない子どもを無理やり動かそうとせず、気持ちを察しながら『ママを連れて行ってくれる?』と声をかけるとうまくいくことがある」。働く場でのコミュニケーションやマネジメントとの共通点を感じているという。

育休、空白ではない ~取材を終えて~

2年前に半年ほど育休を取得し、それまでとは全く異なる日々を過ごした。子育て支援に関わるシニアボランティアや様々な年代の隣人など、仕事だけの生活では接点がなかった人たちと出会い、多様な生き方や地域の活動を知って世界が広がった。

男性の育休取得を後押しする機運が高まっているが、会社勤めの男性が長期にわたって休むことはまだ一般的ではない。月単位や年単位で仕事や職場から離れることへの不安も、取得が広がらない一因ではないだろうか。育児中に新たな価値観と出合ったり、育児経験で磨かれる能力があったりすることが広まれば、育休取得へのためらいが減らせるかもしれない。(関優子)

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