eスポーツに最適 「ゲーミングPC」は何がすごい?
eスポーツという言葉を耳にする機会が増えた。コンピューターゲームをスポーツや競技として捉えた呼び名だ。これらゲームのためのパソコンを「ゲーミングPC」と呼ぶ。一般のパソコンと比べ、何が高性能なのか探った。
3Dも滑らか 見た目は派手
eスポーツで人気のあるコンピューターゲームは、3D(3次元)グラフィックスのリアルな映像を特徴とするものが多い。シューティングゲームの「フォートナイト」、チームを組んで対戦する「リーグ・オブ・レジェンド」、サッカーゲーム「FIFA19」などが代表だ。
こうしたゲームを快適にプレーできるよう性能を高めたパソコンがゲーミングPC。最新の高性能CPU(中央演算処理装置)や大容量のメインメモリー、専用のグラフィックスチップ(GPU)を搭載し、性能も価格も一般のパソコンを大きく上回る。
一般的なパソコンではCPU内臓のグラフィックス機能を使うが、その性能は必要最低限。ネット動画の再生には問題ないが、高精細な3Dグラフィックス映像を滑らかに動かすには力が足りない。
一方、ゲーミングPCはグラフィックス処理専用のチップを搭載し、3D映像も滑らかに描画できる。GPUとして有名なのはエヌビディアの「ジーフォース」シリーズ。ただし、こうしたチップを搭載したグラフィックスカードの中には10万円を超えるものもある。
冷却性能の高さも、ゲーミングPCの特徴。高性能なCPUやGPUは発熱量が大きく、冷却不十分だと性能が低下したり故障したりする。強力な冷却用ファンを備える製品や、液体を循環させて冷却する水冷システムを搭載する製品もある。
高性能なグラフィックスカードや冷却システムを内蔵することから、ゲーミングPCは大型のものが多く、デザインも派手になる傾向がある。色とりどりの発光ダイオード(LED)が光り、気分を盛り上げる製品が少なくない。
そんな特異性から、ゲーミングPCは専用ブランドで販売されることが多い。たとえばデルは「エイリアンウエア」というゲーミングPCのブランドを展開。上位モデルの「エイリアンウエア エリア-51」は、三角形の本体に最新世代のCPUや最大2枚のグラフィックスカードを搭載できる大型デスクトップパソコンだ。直販価格は32万9980円(税別、配送料込み)から。
ノート型や周辺機器も充実
ノート型のゲーミングPCも増えた。華碩電脳(エイスース)の「ROG G703GXR」は、17.3型ディスプレーを搭載したノート型。実勢価格は64万8000円前後と値は張るが、デスクトップ型にひけを取らない高い性能を備える。
ディスプレー、キーボード、マウスなどの周辺機器も、ゲームの快適さやプレーヤーの成績に影響する。たとえばディスプレーは、ゲーム画面の素早い動きに対応するためにリフレッシュレート(1秒間に画面を更新する回数)や応答速度(色の切り替えの速さ)を高める必要がある。
一般的なディスプレーではリフレッシュレートが60ヘルツ前後だが、たとえばアイ・オー・データ機器の24.5型ゲーミングディスプレー「LCD-GC251UXB」(実勢価格は4万2500円前後)は、最大240ヘルツのリフレッシュレートに対応する。
キーボードやマウスは、プレーヤーの操作を即座に伝える信号処理の速さや、激しい操作への耐久性が求められる。ロジクールの「ロジクールG PROメカニカルゲーミングキーボード」(実勢価格1万5000円前後)は、プロの使用に耐えられる速さや耐久性をうたう。
高額で高性能なゲーミングPCでなくても楽しめるゲームもたくさんある。それら用に10万円台前半の安価なゲーミングPCも登場している。レノボの「アイデアパッド L340ゲーミング」は15.6型ディスプレーを搭載したノート型で、実勢価格12万4000円前後から。控えめなデザインで、普段は仕事に使い、休日にはゲームで遊ぶといった使い方ができる。このクラスの製品でゲームに入門するのもありだろう。
(ライター 日経PC21 湯浅 英夫)
[日本経済新聞夕刊2019年6月29日付]
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