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食の達人コラム

自然派スパークリング 伊フランチャコルタの実力 エンジョイ・ワイン(13)

2019/7/5

バローネ・ピッツィーニのフランチャコルタ

イタリアの最高級スパークリングワイン「フランチャコルタ」。だが、同じ高級スパークリングワインであるフランスのシャンパンと比べると、世界的な知名度はいまひとつ。日本でも一般にはあまり知られていない。しかし、実は日本は世界1、2位を争うフランチャコルタの輸入国。知る人ぞ知るワインなのだ。その隠れた魅力を、現地から3回に分けてリポートする。

フランチャコルタは北イタリアの中心都市ミラノから車で東北東に約1時間、アルプスのふもとに広がる地域の名前だ。それがそのままワインの名前になっている。風光明媚(めいび)なイゼオ湖の南に位置し、夏にはイタリア国内外から大勢の観光客が訪れる。

フランチャコルタのブドウ畑。奥に見えるのはイゼオ湖

現地を取材したのは6月中旬。緑のじゅうたんを敷き詰めたように村一面に広がるブドウ畑では、シャルドネやピノ・ノワール(イタリアではピノ・ネーロと呼ぶ)が大きな緑色の葉を茂らせ、葉の陰から、実を結んだばかりの薄緑色をしたブドウの房が顔をのぞかせていた。

日中の気温は30度前後まで上がり初夏の日差しが照り付けるが、湿度が低いのでカラッとしている。乾燥した気候を好むブドウの生育には理想的な気候だ。

それだけではない。昼間は暑いが、夜間はアルプスから冷たい空気が下りてくるため、肌寒く感じるほど気温が下がる。昼夜の寒暖差が大きいと、ブドウの実が酸を十分に保ったまま成熟するため、甘くて酸味もある理想的なブドウになる。

イゼオ湖の役割も見逃せない。一般に、山に近い地域は秋の気配と同時に気温が大きく下がり始めるが、近くに湖や大きな川があると、その効果で気温の下がり方が緩やかになる。すると成熟期間が延び、ブドウがよく熟す。

こうした理想的な気候がライバル視されることも多いシャンパンにはないフランチャコルタの強みだ。シャンパンの産地、フランスのシャンパーニュ地方は緯度が高く冷涼なため、とれたブドウをそのままワインにすると、酸のとがった、要は酸っぱいスパークリングワインになりやすい。そのため、ワイン中のリンゴ酸を乳酸に変えるマロラクティック発酵や、仕上げに糖分を含ませたリキュールを少量添加(ドサージュ)するなどして、味を調整する手法を編み出した。

これに対しフランチャコルタは、ドサージュなし(ノン・ドサージュ)が目立つ。気候のおかげでブドウがよく熟すため、わざわざ糖分を添加しなくても酸味が柔らかでかつ甘みを感じる、自然な味わいのワインに仕上がるためだ。ノン・ドサージュの辛口スパークリングワインは、世界的なトレンドでもある。

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