case=箱とは限らない 英語発のカタカナ語は要注意デイビッド・セイン「間違えやすい英語・聞き手編」(5)case

相手が話した英語を誤解して受け取ってしまった。そんな体験はどなたにもあると思います。日本人向けの英語教育で豊富な経験を持つデイビッド・セインさんは「日本人が聞き手として勘違いしやすい英語表現がある」と言います。今回はcaseという名詞に焦点をあてて、詳しく見ていきましょう。

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あるオフィスでのひとコマ。他社から何かが郵送されてくることになっていたらしく、スティーブがそれを探しています。同僚のユウカは、届いた郵便物が置いてありそうな場所を教えてあげました。ところが、取りに向かおうとしたスティーブが用いたごく平凡な英語の言い回しは、日本人のユウカにとって馴染みが薄かったようです。そのあとの話がおかしくなってしまいました。

それはこんな会話でした。

Steve: Do you know if anything arrived from ABC?
Yuka: Somebody said there's mail from ABC on the shelf.
Steve: If that's the case, I'll pick it up.
Yuka: Oh, that's not the case.
Steve: Wait. Are you sure?
Yuka: It's an envelope.
Steve: Huh?

図らずも次のようなやりとりがなされたことになります。

スティーブ:ABC社から何か届いていないかなあ?
ユウカ:棚にABC社からの郵便物があるそうよ。
スティーブ:そういうことなら、持っていくね。
ユウカ:あら、そういうことじゃないわ。
スティーブ:待って。確かなの?
ユウカ:封筒なんだけどね。
スティーブ:ん?

現代の日本語には、英語に由来する数多くのカタカナ語があり、そうした外来語の印象に引きずられると、原語が持つ他の意味を見逃してしまうことになりかねません。上の対話で行き違いが起きた理由は、スティーブの発したif that's the caseというひと言を、ユウカが「日本語の感覚」で受け取ったことにありました。この英語を聞いたとき、ユウカは心の中で次のように思ったのでした。

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