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白河桃子 すごい働き方革命

「社命での転勤をゼロに」 AIG損保が目指すゴール AIG損害保険 福冨一成執行役員(下)

2019/7/10

94年に日系メーカーに入社後、人事業務に携わる。05年にAIU保険に入社、08年人事企画業務部長、10年人事部長。13年7月に富士火災海上保険へ出向。17年1月にAIU損保および富士火災の人事部長に就任。17年4月に2社の執行役員人事部門担当。18年1月より現職。

社内外に大反響を生んだ、AIG損害保険の「全国転勤廃止」制度。全社員の要望をかなえることなど可能なのだろうか。前回「望まぬ転勤廃止で新卒応募10倍に AIG損保の決断」に引き続き、人事担当の福冨一成執行役員に聞いた。

■エリアごとの採用も開始

白河桃子さん(以下敬称略) 勤務地を選んで転勤しない、75%のノンモバイル社員の内訳に年齢や性別の偏りはありましたか?

福冨一成さん(以下敬称略) 性別は女性がやや多く、年齢に関しては特に顕著な差は出ませんでした。逆に転勤OKのモバイル社員を選択したのは、未婚の若手や年次の高い層が多かったですね。

白河 年次が高い層が多いのはどういった理由でしょう?

福冨 おそらく「転勤が当たり前で育ってきた」のが一つ。また、子育てや介護が一段落してフリーになっているからという理由もあるようです。当社の平均年齢は約44歳ですが、ちょうど子育てに手がかかり、親の介護も差し掛かってくる年代ですので、このメイン層はノンモバイル社員を選択する人が目立ちました。

白河桃子さん

白河 たしかに、40代半ばといえば、そろそろ親が後期高齢者になる時期です。

福冨 実はまさに私も遠距離介護を経験して苦労しまして。地元が大阪なのですが、ここ3年ほどで急に実親がバタバタと要介護状態になりまして。姉が近くにいるのでなんとかなっていますが、親の手術中に病院の待合室からリモートで経営会議に出席したこともありました。介護は待ったなしで急に始まるので、その時に「希望のエリアで働ける」と会社から準備してもらえることは、相当な安心材料になるのではと思います。

白河 実体験に基づく決意があったのですね。最近は、不妊治療を転勤免除の理由に加える企業も出てきていますし、いかに個人のライフに寄り添えるかが企業に問われる時代だと感じます。きっと中途採用に興味を持つ人もいるのではないかと思うのですが、採用はどのように計画していますか。

福冨 新卒も中途も、エリアごとの採用の正式導入を始めています。これまでは東京と大阪での採用活動中心だったのですが、地方の大学と話を進めてみると、優秀な人材、特に女性が多く採用できそうな感触を得ています。新卒は来年度からの正式導入予定で、すでに準備を進めています。男性にも「住み慣れた地域に貢献したい」と地元志向の人が増えている実感はありますので、これまで私たちが接点を持てていなかった方々に選んでいただけるようになれたらと。

白河 地方創生の面でも非常にいい展開になりますね。これまで地方の有力就職先だった電力や銀行が衰退している今、地方からの流出が止まらないことが大問題になっています。ある地方都市の自治体の方が、「地元50社の就職説明会に学生80人しか来なかった」と肩を落としていたんです。若者にとっても、地元でしっかりキャリアパスをつくれるのは安心ですよね。中途採用への反応はいかがですか?

福冨 損害サービスの職種をエリア限定で募集したところ、非常に反応が良かったと聞いています。なんらかの理由で退職していた経験者の方や、「今は東京で働いているが、そろそろ地元に帰りたい」という方のニーズに合ったようです。

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