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オフィスに生息する「ジジイ」キャラが気分を落ち込ませる。写真はイメージ=PIXTA

オフィスに生息する「ジジイ」キャラが気分を落ち込ませる。写真はイメージ=PIXTA

前例主義に凝り固まり、部下や同僚の手柄を邪魔する。保身をもくろんで、若手をつぶす。こんなやからに舌鋒(ぜっぽう)鋭く切り込んだのが『他人の足を引っぱる男たち』(河合薫著、日本経済新聞出版社)だ。上役にすり寄り下に冷たい、やらない理由を探したがるといった点で企業の成長を邪魔するような連中の存在を「ジジイの壁」と名付けた河合氏から、ジジイ勢力につぶされない、しなやかな会社の泳ぎ方を教わった。

20代にも女性にも「ジジイ」は存在する

誤解を招きやすいが「ジジイ」は年齢や性別を指すわけではない。いわゆる「老害」とは違って、20代も女性も「ジジイ」になり得る。河合氏は「ジジイ」を次のように定義している。

 「ジジイ」とは
「自分の保身のため」だけを考えている人。組織内で権力を持ち、その権力を組織のためではなく「自分のため」に使う人。「会社のため」「君のため」というウソを「自分のために」につき、自己正当化に長(た)けている人。「気分次第で部下を怒鳴り散らすオバさん」のように、女性にもジジイは存在する。
(河合薫著『他人をバカにしたがる男たち』の内容より)

「ジジイ」の典型的なイメージは、コンピューターゲームの世界で最後に待ち受けているボスキャラ、いわゆる「ラスボス」だ。それに加えて、ゲームのあちこちのステージに敵キャラクターがいるように、社内に至る所で彼らはとぐろを巻いている。

本書の前半には、たくさんのリアルな事例が盛り込まれているので「あるある」と納得しながら読みやすい。痛快さすら覚えるだろう。

ビジネスマナーに口うるさい。「俺は聞いてない」と議論を蒸し返す。「売れなかったら、責任はとるんだな」とすごむ。揚げ句の果てに、やたらと「上の意向」を持ち出す……。多くのビジネスパーソンが膝を打ってうなずきそうなケースが満載なのだ。「ジジイの壁は多くの職場で働き手をげんなりさせている点で、生産性と企業成長の阻害要因」と河合氏は指摘する。

多くの読者は「自分はジジイではない」と思っているかもしれない。しかし、読み進めるうちに、身につまされるところが出てくる。本人も知らないうちに進む「内なるジジイ化」に気づかされるのだ。河合説に従えば「ジジイ岩盤」は厚みを持っている。社内のポストが上位の「大ジジイ」以外に、中間管理職レベルの「中ジジイ」、さらに下位ポストの「小ジジイ」がぶらさがっているのだ。

さらには、ジジイにもなりきれず、陰湿な上司に抵抗することもあきらめた「粘土層」が多くの職場で形成形成されている。これが結果的に「ジジイ岩盤」の堅固化に力を貸している。「知らず知らずのうちにジジイ勢力の一部に取り込まれてしまう人が珍しくない」(河合氏)

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