週末の寝だめ 肥満・糖尿病のリスク高める可能性

日経Gooday

週末の寝だめは平日の睡眠不足がもたらす悪影響をリセットできる?写真はイメージ=(C) Aleksandr Davydov-123RF
週末の寝だめは平日の睡眠不足がもたらす悪影響をリセットできる?写真はイメージ=(C) Aleksandr Davydov-123RF
日経Gooday(グッデイ)

平日に十分な睡眠を取ることが難しい人が、「週末にたっぷり眠って、少しでも健康を取り戻したい」と思うのは当然かもしれません。しかし、週末の寝だめが、肥満と糖尿病のリスクを高める可能性があることが、米国の若い成人を対象とする研究によって示唆されました。

睡眠不足が続いた後の寝だめは、健康への害をリセットできる?

睡眠不足は、日中の食べすぎや、体内時計の遅れを引き起こし、それらは、肥満とインスリン感受性の低下にも関係することが示されています。

【インスリン感受性とは】
血液中のブドウ糖を細胞内に取り込む(=血糖値を下げる)働きをするインスリンが、膵臓から適切な量分泌されている場合に、その作用が十分に現れているかどうかを示す言葉。インスリンの作用が十分に現れている場合は「インスリン感受性が高い」と言い、反対に、インスリンの効果が十分に得られない場合は「インスリン感受性が低い」または「インスリン抵抗性が高い」と言う。インスリン感受性が低い状態が続くと、膵臓のインスリン分泌機能が低下し、血糖値が上昇して、糖尿病(2型糖尿病)を発症する。

米国睡眠医学会などは、18~60歳の成人に対して、健康のために毎日7時間以上の睡眠をとることを推奨しています。しかし米国では、約35%の成人の睡眠時間がそれより短く、約30%の人が6時間未満しか眠っていないと推定されています。平日の睡眠不足を補うために、週末にはできるだけ睡眠をとる人が多いと考えられます。

これまでにも、「週末の寝だめに、睡眠不足の有害な影響を和らげる効果があるのかどうか」を調べる研究は行われてきました。それらの研究では、評価指標としてインスリン感受性、炎症性たんぱく質の血中濃度、血圧などを用いていましたが、得られた結果はまちまちで、週末の寝だめの健康への利益を明確に示せてはいませんでした。

そこで今回、米コロンビア大学ボールダー校などの研究者たちは、BMI(体格指数)が正常域にある健康な若い成人36人(男性18人、女性18人、平均年齢25.5歳)を対象に、睡眠不足が続いた後の寝だめが、体内時計と、エネルギー摂取、体重、インスリン感受性に及ぼす影響を検討しました。

異なる睡眠パターンを9日間実行し、影響を比較

参加者は、以下の3群に無作為に割り付けられ、指示された睡眠を9日間継続しました。

(1)対照群(9時間眠ってよい):8人
(2)短時間睡眠群(平日と週末の区別なく毎日5時間睡眠に制限):14人
(3)週末寝だめ群(平日は5時間睡眠だが、金曜夜から週末の間は好きなだけ眠ってもよい。その後2日間は再び5時間睡眠):14人

試験開始前の3日間は、全員に9時間眠る機会を与えて、通常の睡眠習慣(本人の体内時計)に従って眠るように指示したところ、平均8時間程度の睡眠をとっていました。

試験開始前はカロリーをコントロールした食事を提供し、試験中は食べたいだけ食べられる環境を提供しました。体内時計のずれは、試験開始前日と開始から8日目に、24時間の血中メラトニン[注1]濃度を測定して評価しました。インスリン感受性は、試験開始日と試験終了日に評価しました。

[注1]メラトニン:脳の松果体から分泌されるホルモン。血中濃度は夜間に高く、昼間は低く、その変化には明確なリズムが見られる。夕方から夜にかけて分泌が始まり、全身の細胞に夜が来たことを知らせて、睡眠や休息を促す。