就活で人気の現場型インターン なんとなく参加はNG
学生から人気のインターンシップの特徴は――。就活ナビサイトがこのほど相次いで発表した人気インターンの内容を分析したところ、評価の高い企業に共通していたのは、現場体験と手厚いフィードバックだった。学生の成長につながる優良なインターンに出会うにはどうしたらよいのだろうか。
今回分析したのは、マイナビの「学生が選ぶインターンシップアワード」と、リブセンスが運営する就活会議が選んだ「学生が本当に行ってよかったインターンシップ」で評価の高かったインターンだ。
インターンシップは新卒を採用している企業の大半が実施していると言われ、就活サイトにも把握しきれないほどの情報が掲載されている。インターンの中身は玉石混交で、中には「人事担当者による説明しかなかった」「場所が会社じゃなかったから雰囲気がよくわからなかった」という不満も学生から聞こえてくる。
評価されるインターンは現場体験と手厚いフィードバック
こうした事情も背景に、就活サイトが評価の高いインターンの表彰を始めた。マイナビは学生の審査員と大学教授ら有識者が選定しており、就活会議は過去のインターン参加学生からの口コミを点数化してランキングを出しているという。
評価の高かったインターンに共通していたのは、大きく3点だ。まず、現場の社員が数多く参加している点。次に、プログラムを通じて社内の普段の雰囲気が見えやすい点。そして、インターンシップで実施されるワークショップなどの取り組みに対し、フィードバックがある点だ。
半年間でインターンに41回参加したという法政大法学部4年の石崎寿一さん(21)は、「現場の社員に会えるとか、工場見学を組み合わせているようなインターンだと自分が働くイメージがつかみやすい」と評価する。
会社に直接質問して優良インターンを見極めよう
自分に適したインターンを選ぶ上で、就活サイトのインターンに関する評価は参考になる。
ただ、細かい情報はサイトに掲載されていないことも多い。合同説明会で企業側に社員の参加はどの程度あるのかや、フィードバックの有無、さらに現場に行けるかどうかなどを直接確認するといい。
実際に評価の高かったインターンの実施企業を取材した。
マイナビで大賞を取った三菱電機のプログラムは技術系の学生が対象だが、全国34拠点で247ものテーマが設定されている。現場で10日間、専門的な実体験ができる。学生は自分の専攻や興味に合わせて、実習に入る職場を選べる。優秀賞だったボッシュは、学生が3週間~2カ月程度の間、週に3~5日間ほど社員のように「出勤」する。配属部署は本人の専門や希望に合わせてオーダーメードできる。いずれも、たっぷりと現場経験できるのが人気の秘密だ。
「脳がちぎれるほど考える」と募集要項にあるソフトバンクの地方創生インターン「ツレテク」は、倍率50倍とも言われる人気ぶり。情報通信技術(ICT)を使った地方の課題解決策を、地方自治体や企業に提案する内容。昨年参加した男子学生は「初日からメンバー間で言い争いになるほど、白熱した現場だった」と振り返る。
インターンを受ける目的を明確に
一方、学生へのフィードバックで人気を集めたのが、展示会やイベントの企画、デザインなどを手掛ける昭栄美術(東京・中央)。昨年度、千葉県浦安市の市民祭りのパレードの一部をインターンの学生が企画製作、運営まで手掛けた。社内のコミュニケーションツールを使って企画の進捗を社員が確認し、学生からの相談にいつでも乗る体制を築くことで、綿密にフィードバックを返すようにしたという。
最後に、インターンに臨む上での心構えについて、リクナビを運営するリクルートキャリア就職みらい研究所の増本全所長に聞いた。
増本所長は「よく練られたインターンは、学生が成長できる場であることは間違いない」と強調。その上で学生に対し、「インターンで何を得たいかをよく考えてほしい。業界を知りたいのか。その会社の働き方を体験したいのか。目的をしっかり考えてから選べば、とりあえず横並びで人気企業のインターンに殺到するようなことはなくなるはず」とアドバイスしている。
(藤原仁美)
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