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月の裏側の地下に謎の超巨大物体 盆地形成に関係?

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ナショナルジオグラフィック日本版

月の裏側の地下に、何やら巨大な物体が潜んでいるらしい。質量がハワイ島の5倍もある金属の塊のようだという。

学術誌「Geophysical Research Letters」に最近発表された論文によると、その物体は月の南極エイトケン盆地の地下300キロよりも深い場所にある。南極エイトケン盆地は、数十億年前、月の表面がまだ高温の溶岩に覆われていたときに、隕石が衝突してできた巨大クレーターだ。月面が完全に冷え固まる少し前に形成されたため、今も痕跡が残っている。

調査チームは、NASAの月探査機グレイルのデータとルナー・リコネサンス・オービターによる地形図を組み合わせ、クレーターの地殻の厚さとマントルの密度をより詳しく計算した。

こうして発見された物体は、クレーターの形成と何らかの関わりがあるとみられている。論文の筆頭著者で米ベイラー大学のピーター・ジェームズ氏は、古代に衝突した隕石が持っていた金属核の名残ではないかと推測する。物体は直接は見えないが、その影響なのか、クレーターの表面にはほぼ卵型の奇妙なくぼみが確認できる。くぼみの底は、周囲よりもさらに800メートル以上も深い。

NASAゴダード宇宙飛行センターの月地質学者ダニエル・モリアーティ氏は、「大変重要な研究結果です。月の内部で何が起こっているのかを知る手がかりになるでしょう」と話す。

南極エイトケン・クレーターは、その表面の組成や大きさから、これまでも多くの関心を集めてきた。

ジェームス氏によると、「今も残るクレーターとしては太陽系で最大」だそうだ。そのうえ、地下に謎の物体が潜んでいるとなると、ますます興味をそそられる。特に、このクレーターとその縁にある南極点は、今後予定されているいくつもの月ミッションで探査機の着陸候補地に挙げられていることもあって、関心は高い。

この物体を早く研究したくてたまらないという科学者は多い。クレーターを作った巨大隕石の衝突についてだけでなく、月や他の天体がどのように成長するのかを理解する助けにもなるかもしれない。

「私は隕石の衝突モデルを研究しているので、この結果にはとてもわくわくしています」と、米ブラウン大学の惑星科学者ブランドン・ジョンソン氏は言う。「できるなら、私も早く研究を始めたいです」。なお氏は今回の研究に関わっていない。

「マスコン」が見られない

2011年に打ち上げられた2機のグレイル探査機「エブ」と「フロー」は、1年近く月を周回し、月の重力場の違いを克明に記録した。このデータを使って、これまでで最も解像度の高い重力場地図が作られた。

この地図は、月面の表面と地下で何が起こっているのかを大まかに示している。高い地形や密度の濃い岩石など、質量の多い場所では重力が強くなる。すると、南極エイトケン盆地には月の他の巨大クレーターとは異なる点があることが明らかになった。

月の巨大クレーターには、重力が異常に集中しているマスコン(mass concentration)と呼ばれる場所がある。1968年にNASAのジェット推進研究所の科学者らによって発見されたマスコンは、重力地図上にダーツの的のような円形になって現れる。円の中心は重力が強く、それを取り巻く輪の部分は重力が弱い。さらにその外側の輪は、重力が再び強くなっている。隕石が衝突した後、低密度の地殻と高密度のマントルが混じり合うため、このような模様になる。

ところが、南極エイトケン盆地にはマスコンが見られない。そこで、地下がどうなっているのかを調べようと、重力の働きをより正確に想定したモデルを作成したところ、月の上部マントルに高密度の巨大な物体が居座っていることを突き止めた。

由来は隕石?マグマオーシャン?

研究チームは、物体の正体に関してふたつの仮説を挙げている。第一は、月がまだマグマの海に覆われていたその昔に、冷却の最終段階で形成された密度の高い酸化物の名残ではないかというもの。だが、それがどうやって、しかも盆地の下に形成されるのか、正確なメカニズムについてはわかっていない。

「なぜ他の場所ではなく、ここにあるのでしょうか」と、ジェームス氏は問う。

一方、はるか昔に起きた隕石衝突の名残だという説もある。これだけの大きさの盆地をえぐり取った隕石は、相当な大きさだったに違いない。ということは、他の多くの惑星と同様、その内部には硬い金属の核とそれを覆う岩石質の層があっただろう。

それが月に衝突したとき、衝撃で月面が深くえぐられてお椀形のクレーターが形成され、隕石の金属核が地面深くに潜り込んだ。やがてその上を溶岩が覆い、核は地下に閉じ込められたが、次第に溶けて、今は痕跡がわずかに残っているだけなのではないだろうか。

「私ならこちらの説の方に賭けますね」と、ジェームス氏。

ジョンソン氏も2番目の説に同意して、「確かに、何かがあると確信させる論文です」と話した。「これを読んでいる間中、この研究結果を検証する別の方法や、物体ができた原因を探ろうかとあれこれ考えていました」

ますます興味をそそる研究対象に

今回の論文ではほかにも、盆地の内縁の境界線が引き直され、クレーターの大きさがこれまで考えられていたよりも約65キロ大きいことが示された。これも、ここを探査機の着陸地点の候補にしているNASAや他の宇宙機関には重要な情報だ。過去のデータを使った地図では、盆地の南に空白部分があった。しかし、今回はより完全なルナー・リコネサンス・オービターとグレイルのデータを使っている。

全体として、この調査で南極エイトケン盆地への好奇心はますます深まった。

カナダにあるウェスタン大学惑星科学探査センターのサラ・マズルーイ氏は、研究には参加していないが、「とにかく謎だらけです」とコメントした。この物体の正体が少しでもわかれば、太陽系の他の天体形成についても理解が深まるかもしれないと、期待がかかる。

「太陽系の惑星はどれも、小さな物体が衝突しあって大きくなりました」と、モリアーティ氏。

地球上では、プレート運動によって地表が常に循環しているため、古い地表はとうの昔に消え去り、地球誕生初期の隕石衝突の記録も残っていない。だが、月には数十億年前の地表が今も残り、南極エイトケン盆地が生まれた経緯も含め、太陽系誕生の頃何が起こっていたかを探るうえで貴重な情報をもたらしてくれる。

南極エイトケン盆地に関しては、「まだその形成過程がほとんどわかっていません。現在研究はされていますが、とてつもなく広い分野です」と、モリアーティ氏は語った。

(文 Maya Wei-Haas、訳 ルーバー荒井ハンナ、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2019年6月11日付]

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