ナショジオ

ニュース

ティラノサウルス、驚きの嗅覚 全恐竜のトップクラス

日経ナショナル ジオグラフィック社

2019/7/8

ナショナルジオグラフィック日本版

ティラノサウルス・レックスの復元図。その嗅覚は鋭く、現代のイエネコよりわずかに劣る程度だったと考えられる(ILLUSTRATION BY ROGER HALL, ALAMY)

あなたは、食べ物のにおいを嗅ぐだろうか? 肉食恐竜の代表ティラノサウルス・レックス(Tレックス)とその仲間は、恐竜の中で一二を争う鋭い嗅覚を持っていたことが新たな研究で明らかになった。2019年6月12日付けで学術誌「Proceedings of the Royal Society B」に発表された論文によると、数千万年前に絶滅したティラノサウルスの嗅覚に関連する遺伝子数のおおまかな定量化を試みてわかった結果だという。

ティラノサウルスの嗅覚が良かったとする説はこれまでにもあり、2008年にティラノサウルスとその近縁種は、脳の大部分をにおいの処理に使っていたという論文が発表されている。

近年は、大昔に絶滅した近縁種の能力や行動を解明することを目的に、現生動物のDNAと体や感覚能力の相関関係を調べる研究が盛んになっている。今回の論文は、その最新の成果と言えるだろう。

「ジュラシックパークではありません」とDNAから恐竜を復活させる映画になぞらえるのは、論文の筆頭著者であるアイルランドの国立大学ユニバーシティ・カレッジ・ダブリンの計算生物学者グラハム・ヒューズ氏だ。「食物連鎖の頂点に君臨する捕食者になる上で、感覚の進化がどれくらい重要な役割を果たしているのかを調べたいのです」

絶滅したサーベルタイガーの一種スミロドンの嗅覚を解明するのに同様の手法を用いたことがある米カリフォルニア大学ロサンゼルス校の博士研究員デボラ・バード氏は次のように話す。「私は今回の論文を歓迎します。これは、遺伝子や形態学的な手がかりを用いて絶滅した種の感覚機能や生態学的な役割を読み解こうとする研究全体への、新たな貢献だと考えられます」

■手がかりは「におい」

ヒューズ氏の共同研究者ユニバーシティ・カレッジ・ダブリンの古生物学者ジョン・フィナレッリ氏は、恐竜の感覚を解明するという考えに長年夢中になり、特に嗅覚に焦点を当ててきた人物だ。

「白亜紀の環境は、どんなにおいがしたのでしょう? 外見がどうだったかについての意見はたくさんありますが、においについての議論はあまりありません」とヒューズ氏は話す。

今回の論文で、ヒューズ氏とフィナレッリ氏は、恐竜の脳の形に着目した。保存状態の良い一部の頭蓋骨の内側を調べれば、脳の形はある程度わかる。もちろん、この方法では細部まで明らかにできないと思う人もいるだろう。そこで、両氏は生きたサンプルを活用することにしたのだ。つまり、今も生きる最後の恐竜「鳥」と比較したのだ。

ナショジオ 新着記事

ALL CHANNEL