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がんゲノム医療が保険適用 新たな治療に光は差すか

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NIKKEI STYLE

がん患者の遺伝子を大がかりに調べて新しい治療につなげる「がんゲノム医療」が日本でも本格的に動き出しました。がんゲノム医療のための遺伝子検査が6月から保険適用になり、従来よりも安価に受けられるようになりました。一度受けたがん治療で効果が無かった人や、希少がんの患者が新たな治療にたどり着く手掛かりになると期待されています。

がんゲノム医療は、患者一人ひとりの体質や病状に合わせて治療方法を決める「オーダーメード医療」の一つです。患者にはまず、がんと関連した100種類以上の遺伝子変異を一度に調べられる「遺伝子パネル検査」と呼ばれる検査を受けてもらいます。膨大なゲノム情報を高速で読み取る装置を使い、検査結果を基に医師ら専門家が新たな治療方法を検討します。

がん患者の遺伝子を調べて治療方法を決めるやり方は、これまでもありました。がん細胞の増殖と深く関係する特定の遺伝子変異の検査と、特定の治療方法をセットにして行うもので、この検査のことを「コンパニオン診断」と呼んでいます。

コンパニオン診断は評価が確立した標準的な治療を選択するのが目的です。これに対して遺伝子パネル検査は標準治療が効かなかった患者や、治療法が確立していない希少がんの患者が対象となります。国内での臨床試験に参加したり、未承認薬を使ったりすることができるかどうかを検討します。

こうした条件に当てはまる国内のがん患者は年間2万6000人程度とみられています。ただ遺伝子パネル検査を受けたすべての患者で必ず治療法が見つかるとはかぎりません。これまでの研究から、具体的な治療に結びつくのは全体の十数%程度にとどまる見通しです。

佐々木毅・東京大学特任教授(東大ゲノム病理標準化センター長)は「患者の期待に100%答えることはできないが、新たな治療につながる手掛かりになる」と話しています。

遺伝子パネル検査が受けられるのは、現在11カ所の「がんゲノム医療中核拠点病院」と、9月をメドに30数カ所が指定される「がんゲノム医療拠点病院」、そしてこれらと連携する「連携病院」(現在約150カ所)に限られます。中核拠点病院と拠点病院では医師など専門家による検討会議が運営され、遺伝子パネル検査の結果を踏まえて治療方針が決められます。

遺伝子パネル検査の保険適用とあわせて、患者の遺伝子情報を本人の同意を受けた上で、収集・データベース化することになりました。この情報は新薬開発などがん研究に役立てられることになっています。

佐々木毅・東京大学特任教授「患者にとって新たなチャンス」

本格的に始まるがんゲノム医療によって、患者にどのような恩恵が期待されるのか。従来の遺伝子検査を伴うがん医療とどんな違いがあるのか。日本病理学会理事で東京大学ゲノム病理標準化センター長を務める佐々木毅・同大学特任教授に聞きました。

――がんゲノム医療のための遺伝子検査が公的医療保険の適用になり、検査を希望する患者が増えそうです。

「『がん遺伝子パネル検査』と呼ばれる、100以上の遺伝子変異を一度に調べられる遺伝子検査が6月1日から保険診療として受けられるようになった。今回保険適用となったのは国立がん研究センターなどが開発した『NCCオンコパネル』と、中外製薬が販売する『ファウンデーションワン』の2つ。検査の公定価格はいずれも56万円で、患者負担はこの1~3割程度になる。こうした検査は従来、先進医療制度などを使って一部で実施されていたが、患者の負担が数十万円に上っていた。保険適用になったことで患者の負担額はかなり軽減される」

「検査ができる医療機関は、現在11カ所ある『がんゲノム医療中核拠点病院』と、9月をメドに新たに30カ所余りを認定する『がんゲノム医療拠点病院』、およびこれらに連携する『がんゲノム連携病院』だ。中核拠点病院と拠点病院は、検査結果をもとに治療方針などを検討する専門家会議(エキスパートパネル)を開催する。現在約150カ所ある連携病院の数も今後増える見通しだ」

――患者には具体的にどのような恩恵がありますか。

「がんゲノム医療の対象となるのは、これまでに標準的ながん治療を受けたが効かなかったか、希少がんなどで標準治療がない患者だ。遺伝子パネル検査の結果をもとに、エキスパートパネルが、国内で進行中の臨床試験に参加するなど新たな治療方針を検討し、担当医から患者に知らせる。これまでの研究から、新たな治療法が見つかるケースは10%強程度とみられる。新しい治療が必ず見つかるという期待には添えないが、患者にとっては効果のありそうな道を探すチャンスになるはずだ」

――がんゲノム医療を推進する体制は十分に整っていますか。

「遺伝子パネル検査の希望者が急増した場合、病院側が迅速に対応できない可能性がある。検査の実施後、中核拠点病院や拠点病院でエキスパートパネルが開催され、治療方針が決まり、結果が本人に知らされるまで1カ月以上かかるケースも出るだろう。エキスパートパネルは各病院で通常週1回のペースで開催して、患者1人あたり平均10分程度の時間をかけて検討することになるだろう。検査を多数実施できても、エキスパートパネルの回数や時間は思うように増やすことは難しいので、これが全体の制約要因になるのではないかと思う」

――がん医療に関連した従来の遺伝子検査とどこが違うのですか。

「従来、コンパニオン診断と呼ばれる遺伝子検査が行われている。がん細胞の増殖と密接に関係する『ドライバー遺伝子』が判明しているものがあり、これが検査で判定できれば分子標的薬など特定の治療が効果的となる。このようにエビデンスが確立した治療方法とセットになったコンパニオン診断は、今回の遺伝子パネル検査と違ってどの病院でも受けることができるし、患者の負担額も少ない」

「コンパニオン診断は、これまでは遺伝子変異を1つずつ調べる方式で、複数の遺伝子を調べる場合は検体試料が足りなくなる問題もあった。だが6月には肺がんの主要な4つのドライバー遺伝子の変異を一度に調べられる新たなコンパニオン診断薬の保険適用が決まった。とても使いやすい遺伝子診断になると思われる。コンパニオン診断は、がん遺伝子パネル検査と相互補完的に、今後も利用されることになるだろう」

――がんゲノム医療を進展させるための課題は?

「今回、がん遺伝子パネル検査が保険適用になる条件として、患者の遺伝子情報を本人の同意を得た上で国立がん研究センターのがんゲノム情報管理センターに提供することになった。この患者データを新薬や新しい治療法の研究に役立てる。また、パネル検査と併せて患者の全ゲノム情報の提供をお願いすることも検討されている。こうしたデータを活用して、新薬開発や効率的な検査方法を開発・普及させることが重要だ」

(編集委員 吉川和輝)

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