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007が愛したスーツケース、宇宙旅行時代の最先端鞄

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英グローブ・トロッターがカーボン製新商品

2019.6.28

120年の伝統を持つ英国の旅行鞄(かばん)「グローブ・トロッター」が9月、カーボンファイバーの新素材を使った新商品「エアロ」を発売する。東レグループと共同開発したカーボンの新素材は軽量で耐久性が高く、宇宙旅行時代に向けた最先端の鞄と位置づける。グローブ・トロッターは映画「007」に登場するなど英国を代表するクラシックな旅行鞄として知られる。今後は「エアロ」で他ブランドに後れを取っていたビジネス需要を攻める。

■超軽量・高弾力・高強度…東レグループと新素材

東レグループと開発した新素材「エアロ・カーボン」を採用した新ライン「エアロ」。ロケットや航空機に使われる最先端素材を活用した

「エアロ」はロンドンで活躍するクリエーター、吉本英樹氏がデザインした。3サイズがあり税別で27万8000~34万8000円。グローブ・トロッターの旅行鞄はこれまでは2輪で動いたが、ブランド初となる4輪を採用し可動性を高めた。同じサイズでは従来素材の製品に比べて25%程度軽い。表面はカーボン素材特有の織り模様が入り、傷つきにくいのも特徴だ。

新素材「エアロ・カーボン」は東レ・カーボンマジックと開発したもので世界特許を申請中。東レ・カーボンマジックは自動車、航空、宇宙、産業ロボットの高機能部品開発を得意とする。グローブ・トロッターが鞄に使用している素材「ヴァルカン・ファイバー」をヒントにして高い弾力性と強度を持つ新素材を開発した。

120年もの歴史がある老舗旅行鞄ブランドだが、ビジネス需要が開拓できなかった。「モダントラベラーには使い勝手が悪いという意見もあった。新時代の需要にこたえたい」と話すグローブ・トロッターのジェームズ・フィッシャー氏(東京都中央区のグローブ・トロッター)

■ティファニーやグッチとのコラボ商品も人気

19世紀に開発されたグローブ・トロッターは当時主流だった木や革製のトランクとは一線を画し、14層もの紙「ヴァルカン・ファイバー」を使って軽量化に成功、世界中を旅する富裕層や冒険家に支持された歴史がある。グローブ・トロッターのディレクター、ジェームズ・フィッシャー氏は「エアロは21世紀の未来志向の鞄。宇宙旅行も現実のものとなったいま、間違いなくカーボンファイバーが主力になっていく。モダントラベラーが探していた、未来志向の鞄だ」と話す。

ラグジュアリーブランドからコラボ商品の要請も数多い。こちらはティファニーと組んだもの

グッチとのコラボ商品も話題を集めた


グローブ・トロッターは「007」などの著名な映画で採用され、そのファッション性の高さから世界中にファンを持つ。近年はティファニーやグッチなどと組んだコラボ商品も人気だ。一方で、エグゼクティブやビジネスパーソン向けには受け入れられにくかった。「007」の新作映画での採用も期待されており、実現すればより幅広い層への認知に弾みがつきそうだ。